稀少リニアモータカー地上区間+まだ見れる10周年装飾車輛

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[場所]横浜市営地下鉄グリーンライン センター北-センター南
日本国内には鉄輪式リニアモータカーが活躍している営業路線が7線あるが、全てが地下鉄で、このうち地上区間があるのは、ここで紹介する2008年3月30日開業の横浜市営地下鉄グリーンラインと2015年12月6日開業の仙台市地下鉄東西線の2箇所(車両基地を除く)になる。ただし仙台市地下鉄東西線の地上区間に駅はないし、グリーンラインの地上駅のうちセンター北駅と川和町駅はホーム端の見通しが良くないので、リニアモータカーの走行の仕組み(動いているのは輪軸くらいだが)を台車を含めて眺められるのは、グリーンライン センター南駅 プラットホームのセンター北駅寄り端のみになってしまう。

センター南駅の日吉寄りホーム端からの北北東方の眺め。電車は下り線を走りくる10000形の標準色編成。グリーンラインの地下区間は鋼体架線だが、地上区間はカテナリー架線になっている。
上写真と同地点同方向から上り線を見たところ。軌間は1,435mm標準軌で、レール間にあるのはリアクションプレート。リニアモータカーの線路が、地上でこれだけ遠方まで続いているのが眺められるのはここだけだろう。
なお、上記7線のうち、神戸市営地下鉄 海岸線以外にはホームドアが設置されているので、その海岸線とグリーンラインを除く5線は、足回りはおろか車輛のサイド全体を見ることもできない。
このことから、鉄輪式リニアモータカーの車輛全体が普段に見られる稀少な場所として、ここで紹介させていただいた。

センター北駅上り線を日吉方に発車してゆく10000形。グリーンラインの他の地上駅ホーム端では、大方このくらいの眺めになる。
ところで、上写真やタイトルに写っている10000形のカラーリングが普通と異なっているのが気になった人がいるのではないだろうか。この編成は10161Fで、グリーンライン開業10周年を記念して、横浜市電をモチーフにしたラッピングが施され、2018年2月25日から運行されている。

センター南駅下りホームへ日吉方から進入する10000形10161F。10周年記念ヘッドマークは取り付けられていないが、それが却って日常に融け込んでいるから不思議だ。
10161Fの先頭車の車内妻面に掲げられているパネル。「横浜市電保存館」まで紹介されているのがサスガ。
グリーンラインでは、昨年2018年3月24日前後で開業10周年イベント諸々が開催され、記念ヘッドマークも2月25日~4月27日の間に取り付けられた。
それから1年以上の時が経った現在も、ヘッドマークは付いていないとはいえ、ラッピングはそのままで運行してくれているのは有難いことで、横浜市交通局が「グリーンライン10周年記念装飾列車運行時刻表」
http://navi.hamabus.city.yokohama.lg.jp/koutuu/pc/diagram/SpecialTrainDiagramCalendar
を公開しているということは、まだまだ運行されるのだろうと想像できる。

センター北駅コンコース跨線橋のグリーンライン上り線上あたりにある窓からの中山方の眺め。左の電車が下り線を走りゆく10000形10161Fで、右の電車はブルーラインの電留線に留め置かれている3000R形。
センター北駅のコンコースに貼ってあったポスター。これを見ると、ブルーラインの電車の撮影を推奨しているようで楽しい。
ちなみに、センター北-センター南 間はグリーンラインとブルーラインが並行している区間だが、この2線は、グリーンラインが鉄輪式リニアモータカーで、ブルーラインが第三軌条方式と、異なる集電&駆動方式なのはご存知と思う。せっかくの面白い対比ができるはずの並びだが、線路が案外離れて敷設されているのが、小し残念な気持ちもある。

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[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。