東京にある お酒・鉄道好きの終着駅『カップ酒・缶詰バー キハ』!!

2015年9月18日の書き込みで大阪の『鉄道バー 駅』を紹介させていただいたが、その中において駅長(マスター)がインタビューで語っていた「鉄道系の、ワンカップ酒と缶詰が主体の立ち呑みバーという店舗形式」という店舗スタイルを見習ったバーが今回紹介する『カップ酒・缶詰バー キハ』。店のテーマが同じということもあり、前回と似たコメントの繰り返しになってしまうが、鉄道をテーマにしたバーや居酒屋は、記者自身が行ったことがある店だけでも、東京、横浜、名古屋、京都、大阪に存在するので、探せばまだまだ見つかるだろう。

ということで、私自身が度々客として呑みにいっている東京都中央区の東京メトロ・都営地下鉄 人形町駅近くにある『キハ』という店に、この度は記者として突撃取材を敢行してきた…。

入口のドアを開けると、鉄道談義に興じる面々が集う空間が広がる。
入口のドアを開けると、鉄道談義に興じる面々が集う空間が広がる。
1階奥から入口方向の眺め。右の白い棚に飾ってある瓶缶類がこの店で扱っている飲み物の種類。写真中央やや左に気になる物体が!?
1階奥から入口方向の眺め。右の白い棚に飾ってある瓶缶類がこの店で扱っている飲み物の種類。写真中央やや左に気になる物体が!?
上写真内の気になる物体のアップ。ほろ酔いになったお客さんが、車掌さんの真似事をする姿がしばし見られるとか。
上写真内の気になる物体のアップ。ほろ酔いになったお客さんが、車掌さんの真似事をする姿がしばし見られるとか。

場所は東京メトロ・都営地下鉄 人形町駅から北西方向に200m程の地点にあり、店に入る路地前には警報機のような看板が立ち、外観が急行形気動車の前面を模した個性的なデザインになっているので、すぐに発見できるだろう。
入口は路地に面したガラス戸になっていて、開けると目の前には かつてのビュッフェ車輛の車内を極力再現したというカウンターがあり、壁には鉄道用品、解体部品などが飾られ、鉄道好きにとっては居心地の良い空間が広がっている。

この1階の店舗形式は立ち飲み屋で、それによってお1人様でも入りやすいのが助かるし、また「鉄道好きの終着駅」という看板を掲げているだけあって客層も鉄道好きが多いのと、それに加えてカウンター形式であるという点もあり、初対面の人とも話題が合いやすい雰囲気のうえに、たまたま隣合った人とも話しやすい、不思議な空気感が漂っているというのも、先日に紹介した『鉄道バー 駅』と同様。
さらに左の階段で2階に上がると、そこにはロングシートと吊り革が配されて、まるで通勤形車輛の車内のような空間が展開する。こちらは複数人での利用が楽しそうだ。

2階へと上がる階段の左右には駅弁の箱や乗車券類が飾られている。
2階へと上がる階段の左右には駅弁の箱や乗車券類が飾られている。
これが2階の通勤形車輛の車内を模した客室。この中には写っていないが、移動できる台が用意されており、テーブルとして使用することができる。
これが2階の通勤形車輛の車内を模した客室。この中には写っていないが、移動できる台が用意されており、テーブルとして使用することができる。
2階にはNゲージのレイアウトが置かれている。上のレイアウトは鉄道模型コンテスト2014に出展した作品。現在運転は行なっていないが、眺めているだけで酒が進む。
2階にはNゲージのレイアウトが置かれている。上のレイアウトは鉄道模型コンテスト2014に出展した作品。現在運転は行なっていないが、眺めているだけで酒が進む。
木製電線ドラムをテーブルに利用しているのも面白いファニチャー。これが何げにロングシートとマッチングしているから不思議だ。そしてそのテーブルの上には乗車券類がビッシリと並べられている。
木製電線ドラムをテーブルに利用しているのも面白いファニチャー。これが何げにロングシートとマッチングしているから不思議だ。そしてそのテーブルの上には乗車券類がビッシリと並べられている。

なお飲み物のうち日本酒はワンカップ酒、肴のメニューは缶詰が主体となっており、1階でオーダーする方式。2階利用者は基本は1階まで降りてきて注文する。なお、入場券(お通し)代500円が必要なのも申し添えておく。ちなみに飲み物は基本10分300円飲み放題からの長居逓減性(2019年5月現在)。

1階カウンター上に並ぶ缶詰の数々。肴としてこの中から選んで、お店のスタッフに温めてもらう方式。温めなくても、もちろんOK。
1階カウンター上に並ぶ缶詰の数々。肴としてこの中から選んで、お店のスタッフに温めてもらう方式。温めなくても、もちろんOK。
缶詰だけでなく、様々なつまみも用意されている。人気の定番商品は「助役のから揚げ」で、最近の売れ筋は、鯖缶をうどんに掛けた「さばうどん」だとか。ちなみに価格は2015年11月現在のモノ。
缶詰だけでなく、様々なつまみも用意されている。人気の定番商品は「助役のから揚げ」で、お勧めは近隣の富沢町商店街名物を継承した焼きラーメン、最近の売れ筋は鯖缶をうどんに掛けた「さばうどん」だとか。ちなみにメニューの価格は2015年11月現在のモノ。

『キハ』は2006年12月に開業で、その頃はカウンター形式の立ち呑み屋は関西では一般的だったが、まだ東京では少なかった時代に、ましてや缶詰バーという当時としては斬新な店舗形式にしたのかなどの開店の経緯を、助役(この店ではマスターをこう呼んでいる)の二上さんに訊いてみた。
「僕は生まれも育ちも関西なのですが、仕事の都合で関東に来て以来長らく住んでいるうちに鉄道系の立ち呑みバーを開店する切っ掛けに恵まれ、東京都中央区日本橋堀留町に『キハ』を開業させました。ワンカップ酒と缶詰が主体になっているのは、昔に鉄道で旅をした時に、走る列車のボックスシートに座って呑んだカップ酒と缶詰の旨かったことが忘れられず、それを再現しています。」
では、なぜ2階はボックスシートではなくロングシートなのか、という質問を投げかけると、
「ボックスシートの方が旅の雰囲気で飲めるとは思っているのですが、そうすると知り合いだけで固まってしまって、初対面の人とも鉄道の話題により盛り上がれるという出会いの楽しみが減ってしまうのではないか、ということで悩んだ挙げ句にロングシートを選びました。あ、でも知り合いだけで固まって飲むのも全然OKですよ」
とのこと。同じ趣味を持った人とのコミュニケーションをもコンセプトにしているテーマバーだったのだ。

この日はマスターの二上さんがコスチューム姿で店に立ってくれた。ちなみにこの店ではマスターを「助役」と呼び、お店のスタッフの方々を「車掌」と呼ぶ。
この日はマスターの二上さんがコスチューム姿で店に立ってくれた。ちなみにこの店ではマスターを「助役」と呼び、お店のスタッフの方々を「車掌」と呼ぶ。

ところで、マスターがなぜ「助役」と呼ばれるようになったかの経緯はあえてこの中では述べないでおく。それと店名が国鉄などの気動車の形式に冠される「キハ」なのかも含めて、気になった人は、店へ直接行って、助役にネタとして直に疑問を投げかけて欲しい。

カップ酒・缶詰バー『キハ』 お店データ

店名
カップ酒・缶詰バー『キハ』
場所
東京都中央区日本橋堀留町1丁目6-11
運行時間
18:00~23:00
運行日
平日(土曜日は臨時運行あり)
電話
03-5651-5088

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。

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