箱根登山鉄道1形106号塗色変更の話題+3線軌条の話など

鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内

[場所]箱根登山鉄道線 入生田-箱根湯本

神奈川県の箱根登山鉄道モハ1形106号は、当記事アップ日時点では復刻青塗装を施しているが、このカラーリングは2023年11月中旬(予定)で見納めになる。以後は、小田急ロマンスカー色アレンジの「標準塗装」へ戻して2024年1月以後から運行されるとの情報が流れてきた。

箱根湯本駅3番線に停まるモハ1形+モハ2形。2両目がモハ1形モハ106号復刻青塗装車。
「モハ1形106号の塗装変更について」は下記の箱根登山鉄道ニュースリースURL参照。
https://www.hakonenavi.jp/_wp/wp-content/uploads/2023/09/e59f2116928475fc917c58cbd39713d7.pdf
と、コレで記事を〆てしまうと、ただの「お知らせ」になってしまうので、箱根登山鉄道の「鉄道 旅のガイド『鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内』」らしいネタを過去写真から探したトコロ、入生田-箱根湯本 間の3線軌条を走る箱根登山鉄道の電車、いわゆる1,435mmゲージの車輛の回送列車の画像が発掘された。

箱根登山鉄道の3線軌条

当サイトの読者なら箱根登山鉄道 入生田-箱根湯本 間が3線軌条なことはご存知だろう。
3線軌条に関しては当サイト2016年2月2日アップ「首都圏でも見られる三線軌条」の中で紹介しているので、詳細はそちらを参照していただきたくお願いしたい。

首都圏でも見られる三線軌条」の中で箱根登山鉄道の3線軌条を紹介している項に掲載している写真の一枚。電車は小田急1000形1058Fで、2022年10月に廃車になっているので、この車輛はもぉ見られない。入生田
上の記事内で詳細を記しているが、箱根登山鉄道 入生田-箱根湯本 間が3線軌条になっているのは、同鉄道の狭軌1,067mmゲージ区間内である入生田駅に隣接して標準軌1,435mmゲージ車輛の検車区(車庫)があるので、箱根湯本から先の標準軌区間と同車庫の間で出入庫車輛を回送するために敷設されている…というか正確には 小田原-入生田 間狭軌専用化後も残されている。

入生田駅の小田原方の検車区への分岐部分。本線の電車は小田急60000形MSE。検車区内の電車右1000形ベルニナ、左3000形アレグラ。
■3線軌条の箱根湯本側
古い話になるが2021年5月の平日昼スギに、箱根湯本駅プラットホームの小田原方端で電車の写真を撮っていたら、山側4番線の留置線部分に停車していた2000形サン・モリッツ×2+3000形アレグラが、突然に小田原方へ発車していった。

箱根湯本駅4番線留置線部分から入生田検車区へ向けて発車していく回送列車。電車は手前が3000形アレグラ、奥2両が2000形サン・モリッツ。
2006年3月18日の 小田原-箱根湯本 間の終日小田急車での運行化後は入生田検車区の出入庫は早朝と夜間のみと自分勝手に思っていただけに、真昼間に3線軌条区間に箱根登山鉄道車が走っている光景を目撃した時には、思わずシャッターを押し続けていた。

3線軌条区間を走る標準軌車輛。箱根湯本
3線軌条区間を走る狭軌車輛。電車は小田急30000形EXEa。箱根湯本
コレを切っ掛けに、次は箱根登山鉄道車の入生田入庫シーンも撮りたくなり、程よい時間(笑)に小田原駅とかを通った折には、入生田駅まで足を伸ばして張込むことを繰り返した。

3線軌条の入生田側

上では入生田駅で「張込むことを繰り返した。」と大袈裟な表現をしているが、お昼スギの張込み(笑)3度目にして、入生田検車区の出庫シーンを目撃できた。

庫内からゆっくりと発車してくる2000形氷河急行色。分岐器の向きに注目。入生田
実のトコロ箱根湯本方からの入庫を想定していたので、下り(強羅)方ばかり注視していたから、検車区への分岐器が突然に転轍したのを目撃したので慌ててそちら側へ移動し待っていたら、程なくして2000形氷河急行色が検車区内から出庫をしてきて、本線2番線へ転線してきた。

そして本線へと進入。入生田
転線後に2番線にて一旦停止後、回送列車として下り(箱根湯本)方へと発車していった。
2番線ホームから下り列車が発車していく光景は案外貴重なのではないかと思われる。

入生田駅2番線の中程で一旦停車。
そして入生田駅2番線から箱根湯本駅へと発車していった。
毎日運転ではない、いつくるか解らない回送列車を気長に待つのも鉄道趣味の一つのスタイルかなと思い、この度の記事を記させていただいた。
なお時刻に関しては、筆者のカメラは時計を5年くらい合わせていないので、この記事を書くために確認したら40分くらいズレていたため正確な時間が解らないので記さないでおく。
それと、上のニュースリリース内にTEL番が載っているが、そこへ回送列車の運転日などのお問い合わせをなされることは業務に支障をきたす場合があるので、控えていただきたくお願いする。

箱根湯本駅はデッドセクション

もぉ一つのお話(笑)。箱根登山鉄道の架線電圧は、小田原-箱根湯本 間が直流1,500V、箱根湯本-強羅 間が直流600Vと異なるので、箱根湯本駅構内にデッドセクションがあることは、当サイトのかなりの方がご存知と思う。

箱根湯本駅4番線留置線部分の入生田側で、右に「電圧切替」の標識が立つ。電車は2000形氷河急行色。
デッドセクションがある地点の位置的には、4番線の小田原寄りのいわゆる電留線部分にあるとのこと。「電圧切替」の標識があるので見つけやすい。

箱根湯本駅4番線留置線部分の強羅側で、左の柱に「回生開放」の標識がある。電車は左2000形氷河急行色、右2番線に停まっているのは小田急1000形1058Fで、上の方でも記したが2021年5月の撮影なので、アップ日時点ではこの編成はすでに廃車になっているので、この姿はもぉ見れない。と、さらに右の電車は小田急30000形EXEaのサイド。
電車が電圧の異なる線路を走って機器は大丈夫なのか? と思うが、箱根登山鉄道の車輛は直流1,500Vと直流600Vに切り替えられるので問題はない。
とは言っても、古い電車では車輛側の電圧が手動切替のため、デッドセクション通過時に一旦電燈類が消えるという噂がある。
本題からはズレるが、2番線と3番線の間にある車止めの写真にて記事を〆させていただく。

箱根湯本駅で、小田原寄りからの強羅方の眺め。左が狭軌1,067mmゲージの2番線、右が標準軌1,435mmゲージの4番線。
上写真の車止めを反対側から眺めたトコロ。左が4番線、右3番線で、ともに標準軌1,435mmゲージ。この車止めの向こうに狭軌1,067mmゲージの2番線があって、車止めを挟んで対向していて、ともに線路はココまで。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。