新幹線の高架を走る私鉄電車

鉄道旅を一層たのしくする車窓・施設案内シリーズです。

[場所]えちぜん鉄道 福井-福井口

新幹線の線路を走った私鉄電車というと、阪急京都線 上牧-大山崎 間で阪急電車が、東海道新幹線開業前の1963年(昭和38年)4月から約8ヶ月間、新幹線のレールの上を走った話は有名だが、これに似たことが現在の えちぜん鉄道 福井駅で起きている。

期間限定

「似たこと」という言葉をここで使ったのは、えちぜん鉄道の軌間は1,067mmゲージなので厳密には1,435mmゲージの新幹線と同じレールの上を走っていないので、このような表現になったわけだが、違うレールとはいえ、将来には北陸新幹線になる高架線に、在来鉄道の電車が走っているということは、いずれは語り種になることだろうから、あえて当サイトで取り上げさせていただいた。。

2016年1月時点での新幹線福井駅の高架は北側半分しかできていないため、えちぜん鉄道の仮福井駅へはその端部から入る構造になっている。
2016年1月時点での新幹線福井駅の高架は北側半分しかできていないため、えちぜん鉄道の仮福井駅へはその端部から入る構造になっている。
取材日は、駅の東隣に建つホテルエコノ福井駅前の8階の部屋が取れたので、そこからの俯瞰写真3枚で仮福井駅の構造を見ていこう。まずは南側車止め部分。プラットホームよりさらに線路が2両分延びており、電車が留置できるようになっている。
取材日は、駅の東隣に建つホテルエコノ福井駅前の8階の部屋が取れたので、そこからの俯瞰写真3枚で仮福井駅の構造を見ていこう。まずは南側車止め部分。プラットホームよりさらに線路が2両分延びており、電車が留置できるようになっている。
そしてプラットホーム部分。中央の水色の箱はエレベータ。ホテルの窓の都合で右へカメラをこれ以上パンできなくて車輛が切れているが、右のMC7000形の向こうにプラットホームへ上がる階段がある。
そしてプラットホーム部分。中央の水色の箱はエレベータ。ホテルの窓の都合で右へカメラをこれ以上パンできなくて車輛が切れているが、右のMC7000形の向こうにプラットホームへ上がる階段がある。
こちらは仮福井駅の北側新福井駅寄り。将来、新幹線の駅になった時には島式2線構造となるのが想像できるだろう。
こちらは仮福井駅の北側新福井駅寄り。将来、新幹線の駅になった時には島式2線構造となるのが想像できるだろう。

なぜ高架線を?

では、えちぜん鉄道の電車が北陸新幹線の高架線を走っているのは何故なのか。
それは、元々は えちぜん鉄道の福井駅は新幹線高架の東側の地平にあったのだが、この駅を高架にするために一時その仮線として利用する場所として白羽の矢が当たったのが、2015年の時点では空いていた北陸新幹線の高架だったというわけで、えちぜん鉄道福井駅を一旦新幹線の高架上に仮駅として移して、空いた元えちぜん鉄道 福井駅の跡地に えちぜん鉄道 福井駅を高架で造るという事業計画になっている。

仮福井駅の東側にある更地が旧福井駅のあった場所。2016年1月時点では、埋蔵文化財の発掘調査中とのことで、高架化工事は行なわれていない。
仮福井駅の東側にある更地が旧福井駅のあった場所。2016年1月時点では、埋蔵文化財の発掘調査中とのことで、高架化工事は行なわれていない。

仮線を使用を開始したのは2015年9月27日。ちなみにこの高架化などの事業概要は、福井駅周辺整備事務所のHP
http://www.pref.fukui.jp/doc/ekisyuu/
を見ていただければ詳細が出ているので、最新状況はそちらを参照していただきたい。工事の経過を見られる定点観測も掲載されていて、なかなか面白いHPだ。
それでは実際に乗車して、どんな所を走っているか見ていくことにしよう。

仮福井駅を発車すると複線になっており、片渡り線2本で折返しをする配線になっている。また、えちぜん鉄道のレールが新幹線の線路になる位置と違う所に敷かれているのも解るだろう。
仮福井駅を発車すると複線になっており、片渡り線2本で折返しをする配線になっている。また、えちぜん鉄道のレールが新幹線の線路になる位置と違う所に敷かれているのも解るだろう。
新福井駅から南側仮福井駅方向の眺め。防音壁の内側にプラットホームが収まってしまうという、新幹線と私鉄線の車格の違いに驚かされる。この踏切は、いずれ新幹線が開通したあかつきには「ここに踏切があった」という伝説の場所になるかもしれない。
新福井駅から南側仮福井駅方向の眺め。防音壁の内側にプラットホームが収まってしまうという、新幹線と私鉄線の車格の違いに驚かされる。この踏切は、いずれ新幹線が開通したあかつきには「ここに踏切があった」という伝説の場所になるかもしれない。
新福井駅から北側福井口方向の眺め。約300m先で単線になり、仮高架で地平へと降りてゆく。
新福井駅から北側福井口方向の眺め。約300m先で単線になり、仮高架で地平へと降りてゆく。
新幹線の高架と仮線の高架との接続部分を地平から南向きに眺めたところ。右の高架線はJR北陸本線で、その桁になっている構造と照らし合わせると、新幹線もここに桁が架かるのが想像できるだろう。左の道路と新幹線高架の間のスペースに えちぜん鉄道の高架が造られる。そのスペースの先に見える三角屋根は埋蔵品発掘調査のテント。
新幹線の高架と仮線の高架との接続部分を地平から南向きに眺めたところ。右の高架線はJR北陸本線で、その桁になっている構造と照らし合わせると、新幹線もここに桁が架かるのが想像できるだろう。左の道路と新幹線高架の間のスペースに えちぜん鉄道の高架が造られる。そのスペースの先に見える三角屋根は埋蔵品発掘調査のテント。
上の写真と同じ地点からの反対向き北側の眺め。手前のバラスト跡部分に えちぜん鉄道の高架が造られ、その後にこの仮線は取り外されて、新幹線の高架が造られる。
上の写真と同じ地点からの反対向き北側の眺め。手前のバラスト跡部分に えちぜん鉄道の高架が造られ、その後にこの仮線は取り外されて、新幹線の高架が造られる。
福井口駅前の踏切跡からの南側新福井駅方向にある仮線高架が地平へ降りる地点の眺め。この辺りではすでに工事が始まっているようだ。
福井口駅前の踏切跡からの南側新福井駅方向にある仮線高架が地平へ降りる地点の眺め。この辺りではすでに工事が始まっているようだ。
上の写真と同じ地点からの反対向き北側の眺め。踏切跡のレールは旧えちぜん鉄道の線路で、左の地平を通っているのが現えちぜん鉄道の線路。その左の高架はJR北陸本線。写真中央の構造物はえちぜん鉄道の工事中の高架で、新幹線の高架は現えちぜん鉄道の線路の位置にいずれ造られる。
上の写真と同じ地点からの反対向き北側の眺め。踏切跡のレールは旧えちぜん鉄道の線路で、左の地平を通っているのが現えちぜん鉄道の線路。その左の高架はJR北陸本線。写真中央の構造物はえちぜん鉄道の工事中の高架で、新幹線の高架は現えちぜん鉄道の線路の位置にいずれ造られる。

いまのうちに乗っておこう

高架になる えちぜん鉄道 福井駅の新駅の完成は2018年(平成30年)に開催される福井しあわせ元気国体の年を目指しているとのこと。現在、周辺からは埋蔵文化財が出てきており、完成年はその発掘調査の進捗状況にもよるが、いずれは自社の高架線路に切り替わるわけで、えちぜん鉄道が新幹線の高架線を走っているうちに乗っておけば、その事実を後世に語れる歴史の目撃者になれるということではなかろうか。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。