貨物列車のムック本の附録DVDが何と『立山砂防軌道』前面展望!!

2015年12月21日にメディアックスから『貨物列車スペシャル(本体1,800円+税)』というムック本が発売されたが、この附録DVDの内容が何と「立山砂防工事専用軌道」の全線ノーカット前面展望映像という驚きの動画なのだ。
ということで、そのDVDを画撮により、ここで紹介させていただく運びとなった。

これが特製トールケースのジャケット。
これが特製トールケースのジャケット。

では、立山砂防工事専用軌道とは何のために設けられているのか。それを語るにはまず立山カルデラの解説が必要だろう。人気観光地として立山黒部アルペンルートがあるが、その途中に位置する弥陀ヶ原から山をひとつ隔てた反対側に浸食地形があり、これが立山カルデラで、そこでは現在でも山の崩壊が続いており、それによる土砂災害を未然に防ぐのがここで施行されている砂防工事ということになる。その工事の解説を同誌のキャプションから流用しよう。

東西6.5km、南北4.5kmにわたるすり鉢状の巨大なくぼ地が立山カルデラ。1858年に起きた飛越地震の大崩壊により、現在も約2億立方メートルの不安定土砂が立山カルデラ内に堆積している。火山噴火や大地震の影響による崩れやすい地質、多雨・多雪、日本でも有数の急流河川である常願寺川が富山湾まで延びているという、土砂が下流に流れやすい条件が重なることから、土砂災害を防ぐため、終わることのない砂防工事が現在も続けられている。

1982年7月頃の立山砂防軌道の列車走行風景。とはいっても線路端で撮ったのではなく、前走列車内から続行列車を撮った写真。左に大崩落の痕が窺えるが、沿線にはこのような場所がたくさんある。
1982年7月頃の立山砂防軌道の列車走行風景。とはいっても線路端で撮ったのではなく、前走列車内から続行列車を撮った写真。左に大崩落の痕が窺えるが、沿線にはこのような場所がたくさんある。
こちらも1982年7月撮影の写真。この地点は全線前面展望には入っているが、Contents.1本編では走行シーンとして収録されているため、4画面の側面展望としては収録されていないので、このアングルから見ることはできない。
こちらも1982年7月撮影の写真。この地点は全線前面展望には入っているが、Contents.1本編では走行シーンとして収録されているため、4画面の側面展望としては収録されていないので、このアングルから見ることはできない。

そして、その工事のための人員や資材・機材を運ぶのが、この軌道ということになる。それをやはり同誌のリードから流用しよう。

知る人ぞ知る軌道が富山県の山中にある。軌間610mmで、富山地方鉄道の立山駅に隣接する千寿ヶ原連絡所から水谷連絡所までの約18kmを結ぶ。その途中には、トンネル12ヶ所、橋梁18ヶ所、そしてスイッチバックが合計38段となる8ヶ所もあり、起点と終点の標高差640mを走っている。砂防軌道の名が示す通り、この鉄道の建設と運用の目的は、常願寺川の砂防工事を行なうことにあり、旅客を乗せての営業運転は行なわれていない。

では、立山砂防工事専用軌道の前面展望映像がどんな動画なのか、記者が独断で決めた名場面を以下に画撮で紹介していこう。

いよいよ千寿ヶ原連絡所の発車だ。カメラが機関車の先頭に取り付けられているため、エンジン音が快く聴けるのも嬉しい。
いよいよ千寿ヶ原連絡所の発車だ。カメラが機関車の先頭に取り付けられているため、エンジン音が快く聴けるのも嬉しい。
千寿ヶ原連絡所を発車すると、すぐにスイッチバック区間に入り高度を上げる。なお、左の線路は立山黒部貫光のケーブルカーのレール。
千寿ヶ原連絡所を発車すると、すぐにスイッチバック区間に入り高度を上げる。なお、左の線路は立山黒部貫光のケーブルカーのレール。
列車はこんな素掘りのトンネルもくぐってゆく。
列車はこんな素掘りのトンネルもくぐってゆく。
途中では作業中の列車を追い抜いたりと、前面展望ならではの光景が楽しめる。
途中では作業中の列車を追い抜いたりと、前面展望ならではの光景が楽しめる。
スイッチバック区間に入ると、断崖を登っていく状況がひしひしと伝わってきて、視ているだけで手に汗握る。
スイッチバック区間に入ると、断崖を登っていく状況がひしひしと伝わってきて、視ているだけで手に汗握る。
途中の連絡所では、先行列車をさらに追い抜いたりする。こちらはスイッチバックのため、じっくりと眺められるのも嬉しい。
途中の連絡所では、先行列車をさらに追い抜いたりする。こちらはスイッチバックのため、じっくりと眺められるのも嬉しい。
画像では常願寺川の対岸の斜面が崩落しているのが窺えたりして、このあたりの地盤がかなり弱いことが解るだろう。
画像では常願寺川の対岸の斜面が崩落しているのが窺えたりして、このあたりの地盤がかなり弱いことが解るだろう。
砂防堰堤のひとつが右に見えるてくる。この先にはまだまだ大きな堰堤が存在する。
砂防堰堤のひとつが右に見えるてくる。この先にはまだまだ大きな堰堤が存在する。
岩がややオーバーハングした区間も通る。以前には岩がもっとオーバーハングした場所もあったが、この動画を視る限りでは、そこは別ルートになり解消されたようだ。
岩がややオーバーハングした区間も通る。以前には岩がもっとオーバーハングした場所もあったが、この動画を視る限りでは、そこは別ルートになり解消されたようだ。
こんな風に路盤が崩れた場所も通過する。果たして列車は終点の水谷連絡所に無事に着けるのか。そして着けたとしたら、それはどんな所なのか。あとは買って視てのお楽しみということで。
こんな風に路盤が崩れた場所も通過する。果たして列車は終点の水谷連絡所に無事に着けるのか。そして着けたとしたら、それはどんな所なのか。あとは買って視てのお楽しみということで。

不思議なことに、『貨物列車スペシャル』を名乗っているこのムック本の附録DVDには一般的な鉄道路線の貨物列車に関する動画は一切収録されていない。誌面では特殊軌道の記事として、立山砂防軌道6ページと、足尾銅山4ページが組まれており、特殊鉄道に興味がある方なら、1,800円という本体価格ではあるが、この記事とDVDだけで十分に堪能できる内容なのではないだろうか。
詳細は下記から。

http://www.mediax-co.com/mediax_2013/?cat=4

http://www.amazon.co.jp/dp/4862019749

また、このようなナローゲージや特殊軌道に興味がある方へ向けて、「鉄道 旅のガイド」では『在りし日の鉱山軌道カレンダー2016 』を発売しているので、併せて見て戴けるとありがたい。


[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。

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