アルピコ交通10形リバイバルカラー現役復帰

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[場所]アルピコ交通鉄道上高地線 松本-新島々

長野県のアルピコ交通鉄道上高地線の3000形3003-3004編成の、いわゆるかつての松電カラーを纏った「モハ10形リバイバルカラー列車」は、2021年8月の大雨による河川の増水で 西松本-渚 間に架かる田川橋梁が不通になったため、2022年6月10日直前の同橋梁が修復されるまでの間に松本駅に閉じ込められ休車になっていたことは、2022年6月1日アップ「祝・アルピコ交通鉄道線 松本-渚 間2022年6月10日運転再開」の中で触れている。
そのような約10ヶ月も稼働しなかったこの電車の去就が気になっていたが、なんと2022年8月28日から現役復帰する。

松本駅に閉じ込められていた頃の写真で、モハ3003の運転台側前面ガラス内に掲出されていた、鉄道代行バス乗り場案内などの看板類。
再掲になるが、アルピコ交通鉄道上高地線は、2021年8月の大雨による河川の増水により8月14日夕刻から全線運休。8月16日より 新村-新島々 間が運行再開され、運休区間においては電車代行バスを運行していた。その後10月8日には 渚-新村 間も運行を再開して、電車代行バスの運行区間は 松本-渚 間のみになったが、この区間においては田川橋梁が不通であったため 松本-渚 間は運行休止のまま引き続き鉄道代行バスによる輸送が続いていたが、この一部運休区間にある田川橋梁が2022年6月10日(金)に復旧、全線で営業運転を再開した。

こちらも松本駅に閉じ込められていた頃の写真で、跨線橋からの階段を下りると、7番線ホームには3000形モハ3003-クハ3004が停まっていた。こちらはモハ3003側、タイトルはクハ3004側。
さて、では10ヶ月もの間、松本駅に閉じ込められ稼働していなかっ電車がたナゼ現役復帰することになったのか。
それは、2022年7月下旬に発生した雷により、新島々駅に停車していた別の3000形電車が落雷に遭い運行できなくなるという事態が起きたことにより、休車になっていた3003-3004編成「10形リバイバルカラー列車」がピンチヒッターとして白羽の矢が向けられたためだ。
3003-3004編成は先日に整備を行い休車を解除。8月28日のイベント列車から運行を再開する。
3000形は、より新しい20100形(元・東武20000系)に1年に1編成づつ置き換えられる予定なので、3003-3004編成は早ければあと1年~おそらく遅くとも3年以内には見納めになると思われる。松電カラーの電車を撮っておくには早い時期の訪問が良いだろう。

■松電10形とは
松本電気鉄道10形とは、1958年〜64年かけてモハ10形6両とクハ10形1両の計7両が導入された、いわゆる「日車標準車体」の17m電車になる。ということで、車体は新製だが、足回りはすべて元・木造車のモノを再利用したため、全車更新車扱いになっている。

松電10形。モノクロで申し訳ないが、色や塗り分けは上写真のリバイバルカラー列車とホボ同じなので、頭の中で合成して見ていただけるとありがたい。1978年3月28日。島々
松電では年代物の足回りの電車にも関わらず大切に運行されていたが、1986年12月24日の架線電圧1,500V昇圧前日に全車が運用から外れ、同日に廃車扱いになった。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。


[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。