「小野の滝」知っていましたか? 中央西線 倉本-上松 車窓案内

鉄道の旅を一層たのしくする車窓案内です。特急しなの利用の方必見!?

山の中に鉄路あり 中央西線

中央西線は恵那から薮原までは木曽川水系に添って上っていく。この区間はくねった渓谷が続くその川筋に合わせるように線路が敷設され、まさに「木曽路はすべて山の中」といった景観が続いている。しかしそんな路線だからこそ、線路から至近に景勝があったりするものだ。

車窓から間近に見える「小野の滝」

木曽八景のひとつなのです

今回紹介する小野の滝もそんな線路のすぐ脇にある景勝で、現在は目前に複線の鉄道橋が架けられてしまっているが、実は木曽八景のひとつであり、なんとそれどころか天保4年(1933年)の刊行の葛飾北斎により描かれた浮世絵『諸国滝廻り』全八図の中のひとつである『木曾海道小野ノ瀑布』であり、さらには天保8年(1937年)年頃に刊行された浮世絵『木曾海道(中山道)六拾九次之内上ヶ松』においても歌川広重により描かれたという名瀑なのだ。

大迫力!「小野の滝」の場所は?

位置は倉本駅から上松寄り約3.5kmの地点。滝の落差はおよそ20mで、滝口は鉄道橋よりやや高い場所にはあるが、電車の車窓からだと滝の瀑布を見下ろす感じになる。平行して通る国道19号線からも眺めるられ、こちらは滝つぼに近い高さに位置しているので瀑布に近づけて、直漠の迫力を体感することができる。

国道19号線側から眺めた小野の滝
国道19号線側から眺めた小野の滝。ここに鉄橋をよくぞ架けたと、明治42年頃の土木技術者のセンスに、ある意味感心してしまう。

ここで案内板の説明文を転載。

「広重・英泉の合作である中山道六十九次の浮世絵に描かれている上松は、この小野の滝の絵です。
明治四十二年鉄道の鉄橋が真上に架けられ、残念ながら往年の面影はなくなりました。
かつてここを旅した細川幽斉は『老の木曽越』のなかで『木曽路の小野の滝は、布引や箕面の滝にも、をさをさとらじ、これほどの物をこの国の歌枕には、いかにもらしける』と、手放しで誉めています。
また、浅井洌は、この地を訪れて
ふきおろす松の嵐も音たえて あたりすずしき小野のたきつせ
と、歌を詠んでいます。今も上松の旧蹟にかわりありません。」

小野の滝の上流から見た中央西線の鉄橋
滝口の上流から見た鉄橋。レールよりは上にあるが、架線よりは低い高さ。

特急しなのの車窓からのチャンスは一瞬。見逃すな!

この区間では木曽川の渓谷美もあり川側(御嶽山側)に眼がいきがちだが、鉄道の車窓から直漠の滝をこれほど間近に見られる場所は日本にはそうそうは無いと思われるので、この地点を通る時にはぜひとも山側(中央アルプス側)を注視していただけたらと思う。ただしここは中央西線という中京圏と信州を結ぶ大動脈であり、通る列車は当然に速達することを主眼としているため、それほどの景勝だからといっても減速して見せてくれたりはしない。一瞬にして通り過ぎるため、意識していても見逃すことがある。けれども、だからこそ小野の滝を目撃できた時の嬉しさは格別だろう。

「特急しなの」と小野の滝
小野の滝の鉄橋を高速で通り過ぎてゆく383系使用の上り特急しなの

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。

鉄道旅を一層たのしくする車窓案内シリーズ
第2回の記事はこちらです。

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