林檎畑の中にある電化地方私鉄の単線棒線無人中間駅を眺める

不定期シリーズ…鉄道ストラクチャー・ガイド

[場所]弘南鉄道 大鰐線 松木平駅

元号が平成だった頃の2016年に、鉄道ストラクチャー・ガイド的なKindle本の企画が当サイト絡みで挙がっていたので、鉄道模型ジオラマ制作の参考になりそうな、それっぽい施設やアイテムの写真を旅先などでコツコツ撮りためて温存していたのだけれども、結局この企画はポシャってしまったので、そのような写真が未発表のままお蔵入りになっていた。そのうちの物件の一つが、この度紹介する運びとなった「弘南鉄道 大鰐線 松木平駅」になる。

弘南鉄道 大鰐線 松木平駅の平成28年(2016年)当時の全景。左が大鰐方、右が中央弘前方。
青森県の弘南鉄道は、同社が運行している大鰐線(中央弘前-大鰐)を2028年3月末を以って休止することで、弘前圏域8市町村が2024年11月27日に合意した…との二ユースが同日にアナウンスされたので、この3年後の運行休止の件をご存知の方は多いと思う。まぁそのような時事ネタは、そんな配信が得意なメディアに任すので、そちらの記事を見ていただくとして、ここでは松木平駅の鉄道施設の記録と、鉄道旅で訪れた時の鉄道が主役の周辺ガイドといったスタイルにて紹介していこう。

松木平駅の訪問時期が6月なので林檎の実はまだ青かった

弘南鉄道大鰐線は、中央弘前-大鰐 間を結ぶ13.9kmの電化路線で、松木平駅はJR東日本大鰐駅との接続駅である大鰐駅から8.4kmの地点にある、電化単線棒線中間無人駅になる。
それでは、松木平駅をグルッと眺めていこう。

■大鰐方
まずは、大鰐駅方から眺めていこう。

弘南バス「松木平」バス停付近から眺めた松木平駅。左が中央弘前方、右が大鰐方。
松木平駅前の踏切。左が中央弘前方、右が大鰐方。
プラットホームへのスロープと、ホーム上の待合室裏側を眺める。左が中央弘前方、右が大鰐方。
プラットホームへのスロープを正面から眺めたトコロ。電話BOXは、グーグルマップで見た限りでは、スタイルこそ一新されているが、いまだ健在のようである。
架線柱は、プラットホーム部分のみ複線ビームのモノなっている。
プラットホームの線路側の石積みはこのような感じ。
■プラットホーム上
次は、プラットホーム上の建造物やアイテムを見ていこう。

スロープ側の停止位置にはミラーが立てられている。手前が中央弘前方、奥が大鰐方。
プラットホーム上の待合室の大鰐側。
プラットホーム上の待合室の中央弘前側。

この記事を記すにあたり、グーグルマップにて松木平駅を見てみたのだが、この待合室の外壁が近年、ひまわり柄に化粧直しされたようである。

駅名標。
待合室内の掲出物。
■中央弘前方
中央弘前方は私有地の林檎畑なので、本来なら勝手には立ち入ってはいけない場所なのだけれども、プラットホーム上から先を眺めてみると踏切が見えたので、道があると思い界隈を探索してみると、やはり道があったので、それを辿って行ったら、例の踏切の地点まで着くことができた。

松木平駅プラットホームの中央弘前寄り端からの中央弘前方の眺め。簡易な踏切が見える。架線柱は単線片持ちビームタイプで、上3線が動力高圧配電線、ビーム左が饋電線、ビーム右がシンプルカテナリー架線、左中段は信号高圧配電線と通信ケーブルであろうか。中段の2線が架空に張られているため地面にケーブルトラフはない。
上写真の簡易な踏切まできてみた。奥が中央弘前方。
踏切のアップ。左が大鰐方、右が中央弘前方。
踏切のアップ。左が中央弘前方、右が大鰐方。
上写真の踏切から眺めた松木平駅プラットホームの中央弘前側。
電化地方私鉄の単線中間棒線駅タイプの松木平駅の外観紹介は以上になる。
訪問時期が6月だったため、林檎畑の林檎の実は青かったが、10月頃に訪れたら赤くなって(品種にもよります)、周辺はこの一連の写真とは異なる、また別の表情を魅せているものと思われる。

松木平駅に下車した理由…

電化地方私鉄の単線中間棒線駅である松木平駅に行きたくなったのは、1972年発行(だったと思う? 記憶違いならゴメン!!)の「旅と鉄道〔鉄道ジャーナル社(当時)〕」誌に冬の鉄道旅特集で掲載されていた雪景色の松木平駅の写真を見てからになる。とはいえ、それはあくまで憧れの地ではあっても、松木平駅を旅の目的地にすることはなく、鉄道全線踏破チャレンジ時に弘南鉄道大鰐線に乗車した際でもこの駅に乗り降りはせず、車内から「あぁココがあの松木平駅か…」と、眺めていたに過ぎなかった。

松木平駅に到着した大鰐行電車。車輌は7000系7000形。
松木平駅はそのような経緯の先にあった遠い存在だったのだけれども、この駅へ下車する切っ掛けになったのは、同駅の西500mほどの地点にある「弘南バス(株)弘前営業所」に配置されているモノコックバス日野K-RE101を、姉妹サイトbusfan.jpの記事2016年8月12日アップ弘南バス(青森県)の『日野K-RE101 1980年式』に使用する写真を撮りに、同営業所を訪ねることになったからになる。

弘南バス(株)弘前営業所に配置されているレトロ車1980年式 日野K-RE101。貸切バスとしては現役で、バス会社が保有・運行するモノコックバスとしては超貴小車。弘南バス(株)弘前営業所の許可を得て立ち入っています。
この弘南バス日野K-RE101の存在確認は、X(元・ツイッター)にて検索した結果からによると、2023年10月に貸切バス・ツアーが催行されているので、それから1年半しか経っていないため、アップ日時点においても貸切バス車としては現役であることと思われる。

弘南バス(株)弘前営業所の場所などの情報は下記URLにて。
https://www.konanbus.com/place.html#place02

弘南バス株式会社HP
https://www.konanbus.com

津軽大沢駅車輌検修所内の電車廃車車体利用の倉庫

松木平駅および駅界隈の施設ではないが、大鰐方隣駅の津軽大沢駅車輌検修所内にて6000系6005の廃車体を利用した倉庫があるので、その写真もココに紹介しておこう。

6000系6005は廃車後に屋根を載せ、倉庫になって第二の生涯を歩んでいる。弘南鉄道津軽大沢駅車輌検修所の許可を得て立ち入っています。以後同様。
弘南鉄道6000系とは、元・東急6000系電車で、1988年~1989年の2回に分けて弘南鉄道大鰐線へやってきた車輌になる。
6000系6005は、倉庫になったため切妻側も見られるので、その写真も載せておこう。

倉庫として使用されているため、連結側妻面が見られるのも有りがたい。
弘南鉄道6000系は、上写真の6005の相棒6006においては2014年に廃車。6007-6008の方は電車の編成としては残っているモノの、ここ数年間動いた形跡はない。

6000系6007+6008は、運行休止後も津軽大沢駅車輌検修所にて保管されている。左奥にチラッとお面が見える電車は6005号から転用された倉庫。左が大鰐方、右が中央弘前方。
なお、弘南鉄道には、別系統路線の弘南線 平賀駅に6000系の中間車6105が倉庫になって残っているらしいが、筆者未確認のため、曖昧な表現のまま、記事を〆させていただく。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。