とさでんの単線路肩軌道を訪ねる…その3

鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内

「路肩軌道」とは、道路の路側帯に寄り添うように敷設された線路を指す隠語

高知県の とさでん には路肩軌道が多く存在するので、シリーズ化して分けてご紹介…この回では北内停留場の東の先-中山停留場の西の手前 の間を眺めていく

[場所]とさでん交通伊野線 北内-中山

路面電車の併用軌道は、道路の真ん中を通っているイメージがあるが、高知県とさでん交通の軌道線には道路の路肩or路側帯寄りの片側外側へ並走するスタイルにて、その道路と寄り添うように線路が敷設されている場所が多々ある。特に伊野線の場合は、鏡川橋より西側には、単線併用路肩軌道にて沿線の家や店舗の軒先を小型電車が走る、まるで明治末期~大正~昭和初期の軌道風景が再現されたような回顧的シーナリー(筆者の感想です)が令和の世にも所々に現存している。

伊野商業前電停を南西側(伊野電停方)から眺めたトコロ。左のプラットホームが上り側の乗降場。右の安全地帯が下り側の乗降場。右の2車線の道路は国道194号 松山街道(以後同じ)。電車は600形612。
とさでん交通伊野線は、駅前線はりまや橋電停を起点に、西方向へ伊野停留場まで延びる路線距離11.2kmの軌道路線で、路面電車タイプの車輌にて運行されている。
当初はその単線路肩軌道が敷設されている 鏡川橋西方~伊野停留場 間を一気に紹介しようと思ったのだけれども、写真点数が多かったので3回シリーズ(サイト的な特ダネや、イベント告知があった場合にはその速報を優先するため不定期シリーズになることがある…)として、区間ごとに分けて掲載することにした。そして第3弾として、この度は北内停留場(以後「北内電停」に略)-中山停留場(以後「中山電停」に略)間と、その界隈を眺めていく。
なお、掲載写真は新型コロナ禍直前の撮影のため、現在は現状と異なる店舗やもぉ存在していない看板が写っている点にはご理解ください。

北内電停-中山電停 間は専用軌道の路肩軌道が続く区間

前回前々回では併用軌道の路肩軌道の線路が多かったが、北内電停から東へ、朝倉駅前停留場までの営業キロ4.1kmの間は専用軌道の路肩軌道が大方を占める区間になる。
専用軌道の路肩線路は、神奈川県の江ノ電や、熊本県の熊本電鉄にも存在しているので、関東や九州在住者にとって線路的にはそれほど稀少な情景ではないかもしれないが、停留場の形態が路面電車のそれなので、関東や熊本県ではお目に掛かれない電停スタイルを見ることができる。その電停をメインに眺めていこう。

■伊野商業前停留場
北内電停は前回に紹介しているので、そこから営業キロ0.1km東の位置にある伊野商業前停留場(以後「伊野商業前電停」に略)から眺めていくことにしよう。

前回に紹介している北内電停-伊野商業前電停 間にある歩道橋上からの北東向き(はりまや橋停留場方)の眺め。中央右に見えるのが伊野商業前電停。電車は600形612。タイトル写真も同地点からの撮影になる。
上写真と同じ歩道橋上から眺めた、伊野商業前電停のアップ。下り側安全地帯と構内(?)踏切との位置関係が判る。
伊野商業前電停の南西側(伊野電停方)からの目線の高さからのアップ。
下り列車は構内(?)踏切の手前に停車する。電車は600形612。
タイトル写真などを撮った歩道橋の下辺りからの、上写真の600形612の後追い撮影。
伊野商業前電停を南東(はりまや橋停留場方)から眺めたトコロ。少し先に上写真などで話題(笑)の歩道橋が見える。記事にするなら、上写真の電車はココで撮るべきであった(笑)。
伊野商業前電停の南東(はりまや橋停留場方)からのアップ。
伊野商業前電停の待合室の北東(はりまや橋停留場方)からのアップ。
伊野商業前電停の待合室を北西側(伊野電停方)から眺めたトコロ。
タイトル写真や6枚上の写真を見て判る通り、待合室は上り側のみで、下り側は安全地帯にての乗降になる。
まぁ待合室を必要とするであろう上り列車の旅客需要の比率を考えれば、巧くできているのかもしれない。

■伊野商業前電停-枝川停留場
伊野商業前電停から東側(はりまや橋方)営業キロ0.6kmの地点に枝川停留場(以後「枝川電停」に略)がある。
この区間の見所としては、両電停の中間付近に宇治川を渡る路肩専用軌道の線路道路併用橋梁「宇治川橋」がある点が挙げられる。

前項で話題の歩道橋上からの東(はりまや橋停留場方)の眺め。この直線の先に枝川電停がある。そして写真中央付近には路肩専用軌道の線路道路併用橋梁「宇治川橋」が見える。電車は600形602。
宇治川橋の北西伊野電停方)からのアップ。
宇治川橋の北東(はりまや橋電停方)からのアップ。
宇治川橋を南東(はりまや橋電停方)から遠望した光景。
上写真付近の路肩専用軌道を走る600形619。
宇治川橋東詰辺りからの東(はりまや橋電停方)の眺め。「V」安全地帯標識のトコロが枝川電停。
訪問時に、宇治川橋の線路側サイドを河川の方から撮っていないのは、いまとなっては謎である(汗)。

■枝川電停

上写真のホボ同地点から眺めた車輌がいる光景。電車は800形801。では、ココから枝川電停を目指そう。
伊野商業前電停は、上り方にはプラットホーム設置、下り方は安全地帯のみの停留場であったが、枝川電停は上り方・下り方ともにプラットホームがあるスタイルの停留場になる。

枝川電停を西(伊野電停方)から眺めたトコロ。この停留場は上り・下りともにプラットホームがあるタイプ。電車は800形803。
枝川電停の西(伊野電停方)からの待合室の背部のアップ。
上写真の地点から東へ約30mの位置にある自転車置き場のアップ。
上写真の自転車置き場付近から南東向き(伊野電停方)に眺めた枝川電停の待合室の背部。
枝川電停の上り側プラットホーム西端(伊野電停方)から西向きに眺めた光景。電車は800形803。
枝川電停を南東(はりまや橋方)から眺めた、自転車置き場を含めた停留場の全景。
上写真と同方向からの待合室などのアップ。
枝川電停を、国道194号を渡った対面の南東側から、プラットホーム部分を眺めた光景。
枝川電停を、国道194号を渡った対面の南西側から眺めた全景。
枝川電停を、国道194号を渡った対面の南西側から遠望した光景。
上写真の景色の中に車輌が現れると、このような感じになる。電車は600形619。
ちなみに、枝川電停から南西に約150mほどのトコロにJR土讃線 枝川駅がある。

■枝川電停-中山電停
実のトコロ、枝川電停-中山電停 間の写真はほとんど撮っていない。ということで、下の写真1枚に集約させての紹介とさせていただく。

枝川電停から東(はりまや橋方)50mほどの地点より東方向を眺めたトコロ。ココから中山電停まで専用軌道の単線路肩軌道が直線で約250mほど延々と続いている。電車は600形619。
枝川電停-鏡川橋 間は、写真をもっとしっかりと撮ってから掲載したいので、鉄道旅で とさでん を訪れた後に、いつになるかは予告できないが、いずれ紹介したいと思っている。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。


[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。