不定期連載 終着駅と界隈探訪…山口県仙崎駅・前篇

鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内

「…こだまでしょうか いいえ誰でも」で知られる童謡詩人・金子みすゞサンの記念館最寄り駅

[場所]JR山陰本線仙崎支線 仙崎駅

終着駅の駅ナカや駅近を訪ねる不定期シリーズです

以前に単発や別シリーズで、JR弥彦線弥彦駅JR名松線伊勢奥津駅など日本の終着駅を紹介しているが、この際だから「終着駅探訪」を不定期連載シリーズ化してしまおうと画策した、その第一弾に選んだのが「JR山陰本線仙崎支線 仙崎駅」になる。

仙崎駅1番ホームから車止め方(東側)を眺めたところ。車止めの先300mほどに海がある。
ナゼ仙崎駅が選ばれたのか…それはこの駅に筆者が降り立った時に、「金子みすゞ記念館」とそこへ辿る駅前通りを当サイトでも記事にしたくなったからで、だったら終着駅を「駅前などにある鉄道系展示品を訪ねる」とは別シリーズ化して、鉄道系オブジェやモニュメント以外の見どころも終着駅なら紹介できることにしてしまおう…という勝手な判断によって制約を変更をしたからに他ならない(汗)。まぁ制約といっても元々自分ルールなので問題ないのだが…(笑)。なので、過去に終着駅をすでにいくつか掲載しているのもあり、シリーズのナンバリングは付けていない。

仙崎出身の童謡詩人・金子みすゞサン作「こだまでしょうか」は、2011年3月11日以後暫くTVで頻繁に流がれていたので、耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。
新シリーズへの能書きはこのくらいにして、それでは仙崎駅を紹介していこう。
ということで、まずはラッチ内から眺めてみよう。

仙崎駅プラットホーム全景。一見到着のように見えるが、実は出発した列車のリアからの眺め(笑)。
仙崎駅に到着したキハ40形キハ402075。ここで折返し1628Dになり下関まで行く。
仙崎駅1番ホームからの長門市方(西側)を眺めたところ。仮に直線に進むと400mほど先に海がある。
上写真の右に写っている看板のアップ。観光列車「○○のはなし」がやって来ることを伝えている。
仙崎駅は山陰本線仙崎支線の終着駅で、山陰本線・美祢線長門市駅北北東2.2kmの距離にある。
仙崎支線の開通は1935年(昭和5年)5月15日で、仙崎駅は始めは美禰線の貨物支線の貨物駅として開業した。貨物支線は1933年(昭和8年)2月24日に山陰本線へ編入され山陰本線支線となり仙崎駅は同線の貨物駅になる。そして同じ年の7月26日には旅客営業を開始。1963年6月1日に貨物取扱を廃止した。1987年4月1日にはJR西日本の駅となっている。
ではラッチを通って、駅舎の内外を眺めていこう。

ラッチを出てスグの待合室左(西)側に展示してあるモザイクアート。各モザイクはメッセージボードになっている。さて遠目で誰に見えるでしょーか!?
駅舎内右(東)側にはギャラリーがある。
ギャラリーの中。左の壁は 金子みすゞサン 関連の展示が占めている。
仙崎駅駅舎は北向きに建っている。
上写真右(西)奥に見える案内板のアップ。
駅構造は単式プラットホーム1面1線の棒線駅で、車止めが駅舎から東に70mほどの所にあり、駅前広場東端の公園脇から辿り着ける。
次は、車止めを見にいってみよう。

車止めは雪の中

上々写真の左(東)隣に公園があり、それを抜けた所にこの光景が広がる。レール上に枕木を置き、次に車止標識を立て、バラストを盛ったその先に車止めがある。
線路終端には第三種II号(乙)車止めを設置。で、その前に樹木(笑)。
車止めの先からの駅方(西向き)の眺め。樹木の根元は雪の中(泣)。
レールの間に樹木が生えていたりして、根元がどのような状態なのか見たかったが、訪れた時期が2021年1月初旬というのもあってか付近は積雪していたため確認できなかった。再訪したい場所がまた一つ増えてしまった。

駅前広場から北へ延びる商店街を「みすゞ通り」と呼ぶ

駅舎前のロータリー北側の信号がある交差点の先から北へ延びている商店街の道は「みすゞ通り」と呼ばれている。この名は上でも記した 金子みすゞサン ゆかりの場所に因んで名づけられた。

駅舎駅前広場を挟んで対面の家屋の壁面に掲げられている仙崎の案内板。真ん中の地図内の赤い筋が「みすゞ通り」。
上写真の場所から北へ70mほど進んだ地点に立つ「みすゞ通り」由来碑。
そしてこの通りを北へ300mほど進んだ右(東)側に「金子みすゞ記念館」がある。

金子みすゞ記念館へ入館してみた

金子みすゞ記念館は隣に「堂英文子金」の看板を掲げた建物が建っているのですぐ解る。

金子みすゞ記念館の入口。右隣は「金子文英堂」。
それでは金子みすゞ記念館へ入ってみよう。
ただし、本館は室内が撮影禁止になっていたので写真はない。

金子文英堂の店内。当時の書店の雰囲気を現在まで温存している。なので並んでいる本は展示品。お買い物は本館ミュージアムショップにてどうぞ。
井戸の上には「井戸ばたで」。詩:金子みすゞ
燕の母さん 詩:金子みすゞ
お風呂 詩:金子みすゞ
このドアの向こうは本館で、ここから先は撮影禁止。
仙崎駅駅前広場から北に延びて金子みすゞ記念館へと至る「みすゞ通り」はほどほどの商店街を形成していて、これら沿道の建物の何件かの軒先や塀とかには みすゞサン の詩を書いたプレートが掲げられている。
前篇の締めにはみすゞ通り に掲げられているプレートの中からこの「…みんなちがって、みんないい。」で知られる「わたしと小鳥と鈴と」の詩を載せておこう。

わたしと小鳥と鈴と 詩:金子みすゞ
後篇では みすゞ通り に掲げられている みすゞサン の詩を書いたプレートの数々をメインにお届けしよう。

金子みすゞ記念館
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:12月29日~1月1日
入館料:一般/350円、小中高校生/150円、
     他に団体料金や4館共通券もある。
金子みすゞサンの詩は聞いたことがあるが、どんな人物か気になっていた人もいるのではないだろうか。まぁこんな方は下記URLを見ていただきたくお願いしたい。
https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。