新潟県内最古の保存電車に屋根掛け決定

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[場所]元・蒲原鉄道 冬鳥越駅

新潟県にあった地方私鉄の蒲原鉄道蒲鉄線は信越本線加茂駅と磐越西線五泉駅を結んでいた。しかし1985年4月1日付(ラストは前日)で 加茂-村松 間が廃止され、1999年10月4日付(ラストは前日)では残る 村松-五泉 間も廃止され、全線廃止になった。
ところで、蒲原鉄道を走っていた車輛はそれなりに沿線各地に保存保管されているが、そのうちの3両を元・冬鳥越駅近くの冬鳥越スキーガーデンに保存展示している。そしてこのうちの1両のモハ1に屋根を掛けることが決定した。すなわち、スッキリとした写真が撮れるのは後わずかということになる。

国道290号側からの眺めで、左が五泉方、右が加茂方。
モハ1は「新潟県内最古の木造電車」の称号を持つ。蒲田車輛製作所において大正時代後期に製造された車輛で、蒲原鉄道へ来た時には「デ2」を名乗っていたが、1952年にモハ1に改番。1954年5月にモハ51(元・モハ13)へ主要機器を供出して廃車となり、その後に車体は職員詰所として利用されていた。
モハ1に転機が訪れたのは全線廃止後で、車体に修繕工事が施行され、台車やパンタグラフなどを他から流用して、現在の姿になり、冬鳥越スキーガーデンに保存されている。

冬鳥越スキーガーデン側からの眺めで、左が加茂方、右が五泉方。
国道290号側から加茂方の前面を撮ろうとすると、見上げた構図でしか撮影できない。
せっかくなのでモハ1の説明板を載せておこう。とはいえモハ1のことは2行くらいしか記されていないが…。

モハ1の説明板。
上のモハ1の外観を見てもらったら解る通り、ダブルルーフの電車である。ということで、ダブルルーフの天井がどんな風になっているのか、気になっている人もいるかと思うので、車内の写真もお見せしよう。

客室の五泉方の眺め。
五泉方の運転台背後。
加茂方の運転台。
保存車輛たちがどんな環境で保管されているのかも見ていただきたく、冬鳥越スキーガーデン側から周囲の景色も入れたアングルの写真を載せておこう。ちなみに屋根が掛けられるのは右のモハ1のみなのは、上記の文脈から解っていることと思う。

左が加茂方、右が五泉方。
冬鳥越スキーガーデンへはJR信越本線加茂駅東口前からバスで行くことができる。運行は加茂市営市民バスで、路線名は「土倉線」になり、最寄り停留所は「冬鳥越」。1日5往復あるので、使い勝手は良い。2021年7月時点の時刻表のURLを下に載せておこう。
https://www.city.kamo.niigata.jp/fs/6/3/8/5/4/_/_________.pdf

他の2両も紹介しておこう

モハ61とED1には屋根が掛けられないので、この秋以後も全体を眺めることはできる。とは言えこの際だから、その2両の外観写真も載せておこう。
なお、こちらは説明板にそれなりに解説がされているので、ココでの能書きは省略させていただく。

■モハ61

冬鳥越スキーガーデン側からの眺めで、左が加茂方。
国道290号側から撮ろうとすると、モハ61も見上げた構図になる。右が加茂方。
モハ61の説明板。

■ED1

冬鳥越スキーガーデン側からの眺めで、左が加茂方。
国道290号側からの眺めで、左が五泉方。
ED1の説明板。車輛諸元の部分がナゼか剥がされているので、以下に記しておこう。「形式:ED1 全長:9,180mm 全幅:2,445mm 高さ:3,904mm 自重:25t 加茂市:市指定文化財」。
2021年8月7日(土)には「モハ1写真撮影会」が催されるとのこと。
https://twitter.com/kamo_niigata/status/1415507615019192323/photo/1
なので、少なくともそれまでは屋根掛けの工事は始まらないということになり、モハ1の全体が眺められるのだろう。

■筆者撮影の蒲原鉄道の動画も視てネ(笑)!!
蒲原鉄道五泉駅周辺の走行シーン&五泉→村松の前方展望をユーチューブへアップしてあるので、視聴していただけたらありがたいです。撮影は1999年4月12日。記事中で紹介しているモハ61も動画内に出てます。
https://youtu.be/SI1FbG4R4f8

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。