「東海旅客鉄道(JR東海)」タグアーカイブ

スタンプ物語6・品川駅

品川区でなく港区にある駅

旧東海道で昔ながらの旅を体感

品川は東海道の最初の宿駅で、スタンプには歌川広重の「東海道五十三次」が描かれています。すぐ近くに海があるように江戸時代は品川駅のあったところはまだ海でした。実際の旧宿場町は駅から徒歩10分ほどの八ツ山橋からで、八ツ山コミュニティー道路には、200mほどのミニ東海道が再現されています。
ここから旧東海道が京急本線に並行して続きます。一般的に知られているコースは、青物横丁までの3キロ、約2時間ですが、旧街道はこの先、立会川の先の鈴ヶ森刑場跡まで続き、ここで国道15号(第一京浜)と合流します。途中にはお休み処もたくさんありますので、マイペースで歩き、歩き疲れたら最寄の京急の駅から電車に乗るのがベターです。あまり歩き過ぎてしまうと本題から脱線してしまいますので、ここでは品川宿本陣跡までのコースを紹介しましょう。

品川駅から徒歩15分ほど歩き、旧東海道から南下して八ツ山通りを隔てたところ利田神社の境内に写真左の鯨塚(品川区東品川1-17-7)があります。碑文によれば、寛政10年(1798)に品川沖にクジラが迷い込み、漁師たちがこれを捕えました。体長九間一尺(約16.5m)、高さ六尺八寸(約2m)の大鯨だったそうで、江戸中の評判となり、時の11代将軍家斉が浜御殿(現・浜離宮恩賜庭園)で上覧しました。この鯨が解体されて骨を埋めた供養塔が鯨塚と呼ばれるようになりました。この近くには屋形船がたくさん碇泊する船着場もあり、海に近いことが実感できます。
この鯨塚から徒歩7分行った写真右の品川宿本陣跡(北品川2-7-21)は、聖蹟公園として整備されており、当時の間取りや歌川広重の絵画などがタイルで紹介されています。「聖蹟」の名がついているのは明治天皇の行在所が置かれたことに由来し、昭和13年(1938)に東京市の公園になりました。残念ながら往時の遺構は残っていないのですが、このまま西へ北馬場通りを行けば品川の鎮守で知られる品川神社(北品川3-7-15)があり、山手通りを行けば弘化元年(1844)築の社殿が残る荏原神社(北品川2-30―28)があります。そのまま山手通りをまっすぐ歩けば次の大崎駅まで抜けられますが、帰りは新馬場駅から京急で品川駅へ戻りましょう。

山手線は1周34.5キロですが、東京~品川間は線籍上では東海道本線で、正式な山手線の区間は品川~田端間20.6キロです。5・6番線の階段上付近には写真左のような山手線の0キロポストと湘南電車を模した郵便ポスト(投函可能)が立っています。キロポストと郵便ポストを引っ掛けたのでしょう。また山手線1番ホームには起点を示すプレート(写真右)があります。描かれている怪獣はゴジラで、これは昭和29年(1954)に東宝映画『ゴジラ』が上陸した地点が先述した八ツ山橋だったからです。ゴジラの進路は東京大空襲の米軍の経路と同じように設定されていますが、この八ツ山近くの品川沖にクジラが上陸したことを考えれば、クジラとゴジラの不思議な縁ですね。
プレートには鉄道発祥の地と書かれていますが、これは明治5年(1872)10月14日の新橋~横浜(現・桜木町)間の開業に先立つ6月12日に品川~横浜(現・桜木町)間が仮開業していたからで、新橋より先に開業した真の発祥の地になるわけです。そのため5・6・11・12番線の東海道本線ホームでは、『鉄道唱歌』の発車メロディが導入され、メロディの最後に蒸気機関車の汽笛も流れると粋な演出がはかられています。
次回の停車駅は大崎駅です。


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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。

フリーきっぷの横綱「青春18きっぷ」

ロングセラーのフリーきっぷ

1日2300円でJR全線が乗り放題

連載の「スタンプ物語」ですが、本日の12月10日から今冬の「青春18」の利用が始まりましたので、閑話休題。今回は「青春18きっぷ」について書きます。
「青春18」は国鉄末期の昭和57年(1982)に発売されてから来年(2012年)で30年目を迎えようとする超ロングセラーのフリーきっぷです。
値段は5日(回)分で1万1500円。学割や子ども料金の設定はありません。連続して使う必要はなく、有効期間内であれば飛び飛びで利用できます。5回分なので最大5人までのグループでも使えますが、5回分が1枚のきっぷになっているため、同一行程という条件がつきます。
最大の魅力は、JRの鉄道全線の快速・普通列車の自由席に限り乗り放題となるところにあります。船はJR西日本の宮島航路、バスは列車代行バスに限り利用できます。快速・普通列車の指定席・グリーン車自由席は、指定席料金・グリーン料金を、ライナーは乗車整理券を別途購入すれば利用できます。ただし、特急・急行は利用できませんので、特急・急行に乗車の場合は特急・急行券のほかに、利用区間の乗車券も別に必要になりますが、特例としてJR北海道の石勝線新夕張~新得間、津軽海峡線蟹田~木古内間、JR九州の宮崎~南宮崎~宮崎空港間は、「青春18」で特急の普通車自由席に限り利用できます。また昨年の東北新幹線全通に伴い、第3セクターとなった青い森鉄道の八戸~青森間は途中下車(JRと接続する野辺地を除く)しない限り、線内の普通・快速列車に乗車できます。
そして「青春18」の強い味方になってくれるのが、「ムーンライト」に代表される臨時夜行快速です。指定席券510円が別途必要になりますが、東海道本線東京~大垣間を走る「ムーンライトながら」の場合は、日付が変わる小田原までの乗車券1450円を買い求めて利用すれば、その日のうちに九州まで移動できるというすぐれものです。ただし、毎年シーズン中は1カ月前10時の指定席券発売開始からすぐ完売になってしまい入手困難になっています。

今冬のムーンライト運転日は下記の通りとなっています(※運転日は始発駅を発車する日です。念のため時刻表で確認ください)。

ムーンライトながら
(下り)東京2310→大垣553/2011年12月22日~2012年1月8日
(上り)大垣2249→東京505/2011年12月23日~2012年1月9日

ムーンライトえちご
(下り)新宿2310→新潟451
(上り)新潟2336→新宿510
2011年12月22日~2012年1月4日、1月6~9日

ムーンライト信州
(下り)新宿2354→白馬540 ※上りはなし
2011年12月22・29・30日、2012年1月6日

「ムーンライト」を利用しなくても、1日(回)分は2300円なので、片道70キロ以上乗って往復すればモトは取れますので、肩肘はらず時には特急・急行も別料金で利用すれば、旅の楽しみ方も増えるというものです。

ところで「青春18」には、冒頭で紹介したマルス発券のものとは別に、通称「赤券」といわれる常備券の「青春18」がファンの間で根強い人気を誇っています。ただこの券はJR東日本とJR東海では、すでに発売しておらず、他の会社でもごく一部の駅に限られているようで、入手が困難になっています。郵送販売を行わなくなった駅もありますので、事前に確認したほうがいいでしょう。

最後に最近はスローライフの楽しみとして、とくに年配の方の利用が増えているため、よくネーミングから若者向けと誤解を招いていますが、年齢制限はありません。「18歳の青春の心をいつまでも持ち続ける旅を」という意味から名づけられたものです。それではみなさん、「心はいつも18歳」で自由気ままな汽車旅を楽しみましょう! 今冬の利用期間は2012年1月10日までです。