駅前などにある鉄道系展示品を訪ねる(10) 長野県・軽井沢駅

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[場所]しなの鉄道しなの鉄道線 軽井沢駅

駅ナカや駅近の鉄道にまつわるオブジェや
モニュメントを訪ねる不定期シリーズです。

(旧)軽井沢駅舎記念館は現役の駅出改札口としても使用

長野県の しなの鉄道 が開業20周年を迎えた2017年10月27日に、その記念事業の一貫で軽井沢町立「(旧)軽井沢駅舎記念館」を しなの鉄道 が借り受け、復活させ旧駅舎口として使用を開始した。それに合わせるように、(旧)軽井沢駅舎記念館周辺を「旧駅舎ゾーン」として整備し、それまで駅構内旧1番線に保存されていた車輛群の設置場所の見直しも行い、旧駅舎ゾーンの一角に文化財保存施設のように展示公開された。

北口ペデストリアンデッキ上から眺めた(旧)軽井沢駅舎記念館。2010年に再築保存された建物だが、2017年10月27日に駅機能を充実させてからは旧駅舎口のシンボルにもなっていて、現役の改札口として使用していることも注目点。旧駅舎改札口・出札窓口の営業時間は7時25分~18時15分。その他の時間は3階の改札口を利用することになる。
しなの鉄道 軽井沢駅は、JR長野行新幹線(現・北陸新幹線)が開通した1997年10月1日に、JR東日本から在来線駅を移管され、橋上駅舎の北側を出改札口として開業した。そして、それ以来ここが長年メインゲートで使用されているのは皆さんご存知と思う。なので「旧駅舎口」を使用開始した以後、軽井沢駅における しなの鉄道 の改札口は2ヶ所になったことになる。
では、そんな第二のラッチを通って、車輛たちを眺めていこう。
なお、展示されている場所は駅ラッチ内なので、入場するには しなの鉄道 軽井沢駅入場券、もしくは しなの鉄道 軽井沢駅を含む有効な乗車券(普通・定期)が必要だ。

旧駅舎口の改札口を入ると、すぐの有料待合室「森の小リスキッズくらぶ」建物の右(西)側にある第1乗降場(旧上り線プラットホーム)に保存車輛が展示されている。まず停まっているのがEF63形EL EF632号。左奥に見える一段高くなっている所は北陸新幹線のプラットホームで、左が高崎方、右が金沢方になる。
反対(南)側の1番線プラットホームからEF632を眺めたところ。2エンド側なので双頭連結器が装備されているのが解る。
EF63形ELの説明板。「型」とか「日本の最急勾配線」とか「加速度…」とかツッコミ所はあるが見なかったことにしよう。
次に停まっているのは10000形(EC40形)EL。いわずと知れたアプト式の初代電気機関車だ。
1番線プラットホームから10000形を眺めたところ。集電が第三軌条方式なのが見てとれる。
10000形の説明版。鉄道記念物であることを伝えている。
その次に停まっているのはマルタイMTT08-16SLC。
1番線プラットホームからマルタイを眺めたところ。信号機は保存展示物。右の115系電車は現役車輛。
マルタイの説明板。2003年3月まで しなの鉄道 で使用されていたことを記している。
マルタイのさらに先の篠ノ井寄りには腕木信号機の上半が保存展示されている。
しなの鉄道 軽井沢駅1番線の車止めを挟んで反対側高崎寄りに「デッキ広場ゾーン」が2018年3月23日にオープンした。ここは「森の小リスキッズステーションin軽井沢」のお子様向けの有料施設が中心のため、その中にも鉄道絡みのアトラクションが2つあるので、そちらも紹介しておこう。
とはいえ、筆者の訪れた日が、その施設の定休日の水曜日に運わるくあたってしまったため、外から垣間見た姿でお見せすることをお許し願いたい。
ちなみに、こちらは駅入場券類の他、アトラクション乗車などには施設利用券が必要になる。
消費税増税前の取材のため、その後これら利用券の料金に変更があるかも知れないので、それや開演時間など情報は下記URLにて。
https://www.shinanorailway.co.jp/karuizawastation/kidsStation/

1番線の車止め反対(東)側のデッキ広場ゾーンに敷設された鉄道絡みのアトラクションの一つ「森の小リスでんちゃ」の線路。水曜日の定休日に訪れたため立ち入りできず、ゲージ幅を測れなかったのが残念。右奥の赤いカバーが掛かっているのが車輛で、姿を見ることもできなかった(←なんか似たセリフが記憶にある)。
上写真のコメントの理由により見れなかった「森の小リスでんちゃ」を案内板から紹介。写真下列左から2枚めがそれになる。なお、乗車料金が別途必要。
やはり水曜日の定休日ということで、もう一つの鉄道絡みのアトラクション「イエローキッズでんしゃ」にも近付けず、南北自由通路上から遠望。元は169系クモハ169-6。やはり、乗車には別途利用料が必要。

■2021年2月22日追記:169系クモハ169-6は2021年2月18日に搬出されました。

草軽電鉄電気機関車の保存車もある

旧駅舎口前には「草軽電鉄電気機関車」の保存車など、鉄道絡みのモニュメントも展示されているので、それらもせっかくなら見学しておくことをお勧めしたい。なお、こちらは無料で訪ねられる。

旧駅舎口の北西すぐにまずあるのは 軽井沢構内煉瓦サイロの碑。これは、軽井沢駅構内でかつて倉庫に使用されていた構築物の一部を保存したモニュメントで、「明治時代からの当時を偲ばせる鉄道遺構…」として建立された。
上の碑の説明板。「サイロ」を名乗っているが、元は給水塔の脚台部分だったことを知らせている。
サイロの碑のさらに北側には、草軽電鉄で使用していたデキ12形デキ13号が保存展示されている。背景に写っているのが旧駅舎口。
草軽電鉄は軽井沢-草津温泉 間を結んでいた軽便鉄道で、1962年に最後に残っていた鉄道路線が廃止された。現在あるバス会社の草軽交通の前身になる。
左の車輪2軸は、同機関車が牽引した客車のモノだそうだ。
デキ12形デキ13号の説明板。草軽電鉄(草軽軽便鉄道)の歴史も記されている。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。