奈良県にある選奨土木遺産のレンガアーチ2径間鉄道橋

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JR和歌山線 吉野口-北宇智 間乗車中に車窓彼方に見えたレンガアーチ鉄道橋を訪ねてみた

[場所]近鉄吉野線 薬水-福神

JR和歌山線を和歌山方面に乗車して 吉野口駅を発車後2kmくらいの地点の車窓左(東)側彼方にレンガアーチ2径間の橋が見える。じっくり眺望するとレンガアーチ橋の左右は築堤で、それらの上には架線柱が立ち並んでいるのも確認できる。なので、これが近鉄吉野線の橋梁設備なことが解る。
この彼方に見えた構造物が鉄道系ということもあり、どのようなシチュエーションに立地しているのかを間近で観察したくなり…、そのような経緯によって、このレンガアーチ鉄道橋を眺めるべ後日に現地を訪ねてみた。

県道120号薬水橋(後述)より約50m南の地点から東向きに眺めた薬水拱橋。区間は、左が薬水、右が福神。電車は26000系さくらライナー。
このレンガアーチ鉄道橋事前に下調べをすると、この橋は「薬水拱橋(くすりみずきょうきょう)」という名称で、道路と水路の上に架かっているとのこと。
近鉄吉野線下り電車に乗車し、まずはアーチ橋上の線路を見るべく薬水駅をやり過ごし(フリーきっぷ使用)、その電車からの前方展望にて薬水拱橋の上を眺めたのが下の写真になる。

薬水駅より福神駅方へ250mほどの地点からの前方展望の眺め。左カーブが始まる辺りの下に薬水拱橋がある。
薬水拱橋の最寄り駅は「薬水駅」なので、近鉄吉野線上り電車にて薬水駅まで戻り同駅下車。いよいよ薬水拱橋へ向かうこととする。

薬水駅を県道120号側から眺めたトコロ。プラットホームは高台にある。
薬水駅は高台にあるため駅からの階段を下ると、目の前を県道120号が通っている。その道を南へ向かって歩くと200mほどで薬水川を渡る道路橋の薬水橋に辿り着き、左(東)を向くと、河川の先スグに薬水拱橋を望むことができる。
この橋を渡らず、道路橋の手前の道を80mほど歩けば薬水拱橋へ着けるのだけれども、筆者はまずは薬水拱橋がある築堤上を走る近鉄電車を撮るべく、県道120号を少し先まで進んだ。

薬水川左岸から眺めた薬水拱橋の西側。電車は6620系。
築堤上を走行する近鉄電車を撮影後、薬水川まで戻り、川沿いの道を辿り、いよいよ薬水拱橋へと向かう。

■薬水拱橋西側
程なく薬水拱橋の下に到着。

薬水拱橋の西側全景。左(北)側が道路、右(南)側が薬水川が通っている。
それでは、薬水拱橋の西側を眺めていこう。

薬水川の西側レンガアーチを、向こう方が抜けて見える地点から眺めたトコロ。アーチの間と両脇に設置されたコンクリート壁が「バットレス補強」。
西面のアーチ間の上には「門水薬」の扁額が掲げられている。
西面アーチ環北側に設置されている「土木學會選奨土木遺産」のプレートと「薬水拱橋について」の説明板。
上の写真を見て解る通り、薬水拱橋は1912年(大正元年)に竣工した、すでに114年も現役で活躍している鉄道橋になる。
薬水拱橋は、元々は吉野軽便鉄道として吉野口-吉野(現・六田駅)間が開業した時に合わせて建設されたモノ。軽便鉄道のために建設された橋梁が、イマの電車の重量に耐えているという点でも畏れ入る。とはいえ、当時は軽便鉄道もSL牽引列車だったので、まぁイマの電車よりは重かったのかも知れないので、問題ないのかとも思うが…。
そして上写真のプレートにある通り、2013年に「土木學會選奨土木遺産」に認定された。選奨理由は「薬水拱橋は、アーチ橋側面を門として捉え、独特の扁額や煉瓦による格子帯に意匠面の工夫を施し、壁柱にバットレス補強された類例少ない鉄道橋であります。」になる。
さらに、奈良県から「営み・なりわいの景観(産業遺産の景観)」として、奈良県景観遺産に選定されている。

■薬水拱橋東側
薬水拱橋東側にはバットレス補強がないけれども、だからこそコチラ側の方が原型に近いスタイルと云えるだろう。

薬水拱橋の東面アーチ部分の右(北)重視のアングル。
それでは、薬水拱橋の東側を眺めていこう。

薬水拱橋の東面アーチ部分の左(南)側の翼壁をメインにしたホボ全景。
コチラ面なら橋脚(と言うのか?)と橋台(と言うのか?)側ピラスター(付け柱)の途中に段差が設けられ、下が太くなっている点も好く解る。

東面の道路側アーチ上方のアップ。
東面の道路側アーチを、向こう方が抜けて見える地点から眺めたトコロ。
レンガアーチ内壁の北東側。
東面アーチ部分の左(南)側の笠石・帯石部分のホボ全景。
東面アーチ部分の左(南)側の笠石・帯石部分のさらにアップ。
東面の薬水川アーチ部分下部のアップ。橋脚(というのか?)の途中に段差があり、下部が太くなっているのが解る。
ちなみに「拱橋」とはアーチ橋という意味になる。

■レンガ橋の曇りの日と晴れた日の質感比較
タイトル写真は晴天なのに、記事写真は曇天なのを、不思議に思われている方もいらっしゃるのではないだろうか? 実は、記事写真を先の日に撮ったのだけれども、どーもタイトル写真に使用するには画質が眠いかな…と思い、後日に撮り直したのがタイトル写真になる。
なので、せっかくだから、天気によるレンガの色や質感の異なり方を見ていただくために、曇天の日と晴天の日の両方の写真をココで並べて、この記事の〆とさせていただく。

曇天の日の薬水拱橋。電車は16400系ACE。
晴天の日の薬水拱橋。電車は26000系さくらライナー。
なお、これらの写真を撮った後には大阪上本町ハイハイタウン内の「鉄道バー 駅」へ直行したことはココだけの話(汗)。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。