士別軌道モノコックバス2024年の路線運行は4月27日開始

鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内

[場所]JR宗谷本線 士別駅前北北東約300m士別軌道本社

北海道上川総合振興局管内の士別市にあるバス会社「士別軌道」が保有している、いまや全国的に貴重となった現役モノコックバスの『日野K-RC301-P 1982年式』が、2024年シーズンは路線バスとしての運行を、4月27日(土)から開始~10月20日(日)までの期間(9月2日~12日の期間は車検・整備のためウヤ)で運行する。

士別軌道の本社車庫にて。ココの日野K-RC301-Pは窓を横にスライドさせて開閉するタイプ。屋根上のマーカーはオレンジレンズを装備。非常口の後ろにルーバーを備えている。
このモノコックバスは元々、隣町の和寒町所有の自家用バスだったが、1998年に士別軌道にやってきて、ワンマン機器などを搭載して路線バス仕様になり車番『82009』となった。ある意味、動態保存車といえる貴重なバス車輛だ。

JR宗谷本線 多寄駅前を走行する日野K-RC301-P。ボディは前中2扉車の都市内路線タイプながら、前面は観光タイプという珍しい組み合わせになっている。モノコックバスが、こうして道路を走っている姿が見られると、嬉しくなってくる。
キャッチコピーが「鉄道が主役の旅スタイル…」になっている点は、鉄道駅から歩いていける範囲の話題ということでお許し願いたい。
写真は、都合により2016年6月撮影な点もご理解いただきたい。

運行便2024シーズンは3路線に運行する。運行期間と運行路線、料金は下記の通り。

平日(月・火・水) 川南大和デマンド線
●運行期間
2023年4月30日(火)~10月2日(水)の平日(月・火・水)。9月2日~12日はモノコックバスは運行いたしません。
●運行時刻
士別9:30発→大和10:25着/大和10:25発→士別11:25着。
●料金
往復券1,860円/片道券930円。
※デマンド運行のため、時間通りの運行とならないことがあります。
※乗車日前日15時までの電話による予約が必要です。予約がないと運行いたしません。
※士別軌道本社から乗降できます。本社窓口で「専用の乗車券」をお買い求めください。

平日(木・金) 中多寄線(日向温泉経由)
●運行期間
2024年5月2日(木)~10月18日(金)のうちの木・金。9月2日~12日はモノコックバスは運行いたしません。
●運行時刻
士別9:40発→多寄→日向温泉10:08→30線西3号→下多寄→風蓮駅前10:34着/病院前10:40発→下多寄→30線西3号→日向温泉11:05→多寄→士別11:34着。
●料金
往復券1,100円(税込)/片道券550円(税込)。
★定刻運行の場合、日向温泉・風蓮駅前で数分の撮影時間があります。
※士別軌道本社から乗降できます。本社窓口で「専用の乗車券」をお買い求めください。

土・日・祝 朝日線
●運行期間
2024年4月27日(土)~10月20日(日)のうちの土・日・祝。9月2日~12日はモノコックバスは運行いたしません。
●運行時刻
士別12:00発→中士別→上士別→朝日12:30着/朝日12:40発→上士別→中士別→士別13:10着。
●料金
往復券1,800円(税込)/片道券900円(税込)。
★定刻運行の場合、朝日で10分程度、撮影時間があります。
※士別軌道本社から乗降できます。本社窓口で「専用の乗車券」をお買い求めください。

電話番号など詳細は下記URL参照。
www.s-kido.jp/monokokku/oshirase.pdf

モノコックバス運行カレンダー
士別軌道のモノコックバスの運行日および運行路線は下記URL参照。
www.s-kido.jp/monokokku/calender.pdf

士別軌道(北海道)の『日野K-RC301-P 1982年式』とは…

日野RC301は、1968年に登場したRC系の中で、RC300がエンジン出力をアップして1977年に登場したマイナーチェンジモデル。日野のモノコック車体の大型バスとしては最後の車種のひとつで、1982年に登場したスケルトン車体のHU/HT系と並行して製造されていたが、1984年に製造を終了した。
では、このバスの外観を眺めていこう。

日野のモノコックバスには『Hino』のウイングマークがよく似合う。
JR宗谷本線 士別駅前に到着した日野K-RC301-P。リアには行先表示の窓はない。タイトルとの連続撮影。
リアのナンバープレートの上部には『RC』のエンブレムが取り付けられている。出自の証しだ。
前面は観光タイプのため、行先表示機は『Hino』のウイングマークの下に備え付けられている。
リアのエンブレムのアップ。
この保存車両の型式名“K-RC301-P”の頭に付いている「K-」は、1979年の排ガス規制適合車になった1980年に加えられた文字で、「-P」はエアサス車を指している。
では、車内や銘板を見ていくことにしよう。

車内の前側の眺め。 なお、写真左側の中ドアは普段は開閉されていない。
車内の後ろ側の眺め。あたり前だが、2ステップ車のため車内はフラット。
前の出入口左側面に貼られた銘板。シャーシが「日野自動車工業」で、ボディが「日野車体工業」製なのが解る。
なお、車庫内で写真を撮るにあたっては、士別軌道さんの許可を得て撮影している。

運行会社の士別軌道について

このバスを運行しているバス会社の『士別軌道』という社名の「軌道」という字にも興味を抱いた方がいるかと思う。
士別軌道は1919年(大正8年)設立の軽便鉄道会社だが、1959年(昭和34年)に軌道線全線を廃止して、バス・トラック会社になり、1988年には貨物運送事業を廃止して、現在の会社形態になっている。バス会社になっても創業時の社名を使用しているところにはコダワリを感じる。

士別軌道本社待合室に展示してある過去写真のうち、鉄道車輌が写っている一枚。
士別軌道本社は、JR宗谷本線 士別駅の北北東300mほどの場所にあることを申し添えておく。

士別軌道株式会社URL
www.s-kido.jp

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。


[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。