窓に浮かび上がる、消えた長野駅1番線

鉄道旅を一層たのしくする車窓・施設案内シリーズです。
[場所] JR信越本線など 長野駅
「長野駅には1番線がないのを知っていますか?」のキャッチフレーズもあって最近話題になっている、 廃止になったプラットホームや線路が窓に浮かび上がる場所が長野駅にある。

JR信越本線 長野駅の1番線は2000年12月1日に旧・2番線とともに廃止になった。しかし1番線があった頃を懐かしむ社員のつぶやきから、その頃の情景が甦ってくるようなモニュメントを創るアイデアが生まれ、廃止後も残っていた1番線のホーム上屋を望める窓に、かつての頃の光景を表した装飾ガラスが設置された。公開されたのは2015年11月21日で、これは「信州100stories」プロジェクトの新たなコンテンツのひとつでもある。

装飾ガラスにはプラットホームや線路、そして181系電車 特急「あさま」といった鉄道設備だけでなく、人影も描かれ、かつての賑わいまで表現されている。
装飾ガラスにはプラットホームや線路、そして181系電車 特急「あさま」といった鉄道設備だけでなく、人影も描かれ、かつての賑わいまで表現されている。
装飾ガラスのホーム上屋部分に書かれた説明文。「信州100stories」プロジェクトの一環なのが解る。
装飾ガラスのホーム上屋部分に書かれた説明文。「信州100stories」プロジェクトの一環なのが解る。

場所は長野駅構内の自由通路西方善光寺口寄りの北側「MI DO RI長野」2Fの コンフォートファッション・フロア を抜けた先のJR長野駅駐車場連絡通路の接続部分あたりにある。
なお、この連絡通路には長野駅1番線の装飾ガラスの他に、『信州トラベルライン』と銘打って、両側の壁面に「信州の楽しい列車旅」をコンセプトとした壁画も貼られている。これらは、JR東日本と長野美術専門学校が連係して、そこの学生たちの提案によりデザインされた装飾だそうだ。

上々写真の地点から180゜反対側を向くと JR長野駅駐車場連絡通路の『信州トラベルライン』が続いている。
上々写真の地点から180゜反対側を向くと JR長野駅駐車場連絡通路の『信州トラベルライン』が続いている。
『信州トラベルライン』には長野県内を走る特長ある鉄道車輛を紹介したイラストも描かれており、こちらも眺めていて面白い。
『信州トラベルライン』には長野県内を走る特長ある鉄道車輛を紹介したイラストも描かれており、こちらも眺めていて面白い。

余談になるが、長野駅の現・2番線は旧・3番線で、現3・4番線は旧・4番線を中間で分割して、南半分が3番線、北半分が4番線になっている。


せっかくなので MI DO RI長野 の駐輪場へ回り、そこから装飾ガラス部分の外側を見上げてみた。なお、この駐輪場は長野市の駐輪場とは別なので、訪ねる際にはご注意を。
せっかくなので MI DO RI長野 の駐輪場へ回り、そこから装飾ガラス部分の外側を見上げてみた。なお、この駐輪場は長野市の駐輪場とは別なので、訪ねる際にはご注意を。

上写真の地点から180゜反対側を向いた光景。ホーム上屋と、さらに1番線のプラットホーム縁石も残っている。ということは、線路部分をかさ上げしてフラットにしているのだろう。
上写真の地点から180゜反対側を向いた光景。ホーム上屋と、さらに1番線のプラットホーム縁石も残っている。ということは、線路部分をかさ上げしてフラットにしているのだろう。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。