「京浜東北線」タグアーカイブ

スタンプ物語26・上野駅

寂しくなる北の玄関口も

上野恩賜公園の行楽客では賑わう

「上野山下ステーション」というのは、明治16年(1883)に日本鉄道の駅として開業した当初の風景です。山下というのは西側にある上野の山のこと。正確にいえば山でなく台地なのですが、標高20mほどの高さのある上野恩賜公園は、パンダで有名な上野動物園をはじめ東京国立博物館・国立科学博物館・国立西洋美術館・東京都美術館・東京文化会館などの文化施設が点在。桜の名所としても知られ、春は花見の人出で賑わいます。写真の駅舎は二代目になりますが、昭和7年(1932)竣工で往時の面影を残す遺構が今もなお、現役で機能しているわけです。

 上野といえば長らく「北の玄関口」として知られ、新幹線開業前は東北・上信越・北陸方面への列車が発着する駅でした。東北・上越新幹線開業後もその地位は揺らぎませんでしたが、平成3年(1991)6月20日に新幹線が東京駅まで延伸すると、その運行形態はガラリと一変。その後も山形・長野新幹線などの開業により、当駅始発の優等列車が激減したため、地上ホームも整理され、東北地方から集団就職で「金の卵」ともてはやされた若者を乗せて到着した18番線も平成11年(1999)にその使命を終えました。現在はそのレリーフとなる『あゝ上野駅』の歌碑(写真左)が駅前に立っています。石川さゆりの『津軽海峡・冬景色』で唄われた「上野発の夜行列車」も激減しましたが、「北斗星」「あけぼの」(写真右)などが健在です。故郷が違っても故郷へ帰る旅情をかきたてられるのが上野駅なのです。

上野駅には他にも中央改札内みどりの窓口に右の新幹線とパンダと不忍池が描かれている逆三角形のスタンプのほか、「パンダの親子」「西郷隆盛と駅舎および寛永寺五重塔」が描かれた3つが設置されています(2012年2月現在)。こちらも見逃さないようにしましょう。
次回の停車駅は御徒町駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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スタンプ物語25・鶯谷駅

ウグイス鳴く鶯谷

下谷七福神めぐりもぜひ

鶯谷のスタンプといえば駅名の通り「寛永寺とウグイス」です。このあたりは江戸期は寛永寺の寺領でした。寛永寺は寛永2年(1625)に天海の発願で建立。京都を守護する比叡山に対し、「東の比叡山」という意味から「東叡山」ともいわれました。承応3年(1654)に皇子が入山して以来、代々皇族が門主をつとめ、「輪王寺宮」と尊称されています。鶯谷の地名はこの輪王寺宮が「江戸のウグイスはなまっておる」と云って、京都からたくさんのウグイスを取り寄せて放ったのが由来です。現在では都市化が著しくウグイスの鳴き声などほとんど聞くことができませんが、朝の時間帯は駅ホームからウグイスの鳴き声を流しています。絶大な宗教的権威を誇った寛永寺でしたが、慶応4年(1868)の戊辰戦争では、彰義隊と官軍の戦場となり、根本中堂はじめ主要な堂宇は焼失。旧境内の敷地は現在の上野公園になっています。

鶯谷には2012年2月現在、旧スタンプ(右)も保管されており、南口改札係員に申し出れば押すことができます。こちらは寛永寺と駅南口から徒歩7分のところにある狂歌「おそれ入谷の鬼子母神」で知られる真源寺の入谷朝顔市(毎年7月6~8日)が描かれています。当寺は「下谷七福神」の福禄寿を祀っていることでも知られ、七福神も描かれています。「下谷七福神」は昭和50年代に始まった新しい七福神で、期間は1月1~7日。真源寺の他は元三島神社(寿老神)・英信寺(大黒天)・法昌寺(毘沙門天)・ 弁天院(弁才天) ・正宝院(恵比寿)・寿永寺(布袋尊)で、起点は当駅あるいは東京メトロ日比谷線三ノ輪駅になります。こちらも日暮里の谷中七福神同様、色紙(2種類あり)を購入して、有料の御朱印を求めます。こちらの巡拝も徒歩2時間ほどで、鶯谷駅にはパンフレットがありますので、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
駅からのモデルコースはこうなります。
鶯谷駅北口→(徒歩3分)→元三島神社→(徒歩10分)→真源寺(入谷鬼子母神)→(徒歩5分)→英信寺→(徒歩3分)→法昌寺→(徒歩15分)→弁天院→(徒歩15分)→正宝院(飛不動)→(徒歩10分)→寿永寺→(徒歩3分)→三ノ輪駅
次回の停車駅は上野駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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スタンプ物語24・日暮里駅

250年前から始まる七福神

スタンプとは別の御朱印集め

常磐線を分岐する日暮里駅のスタンプは「谷中七福神」です。現在のスタンプは七福神が描かれていますが、国鉄時代の「わたしの旅スタンプ」時代のもの(現在はなし)は日暮里駅最寄の「毘沙門天」が祀ってある天王寺が描かれていました。

日暮里は西日暮里同様、諏訪の台にある「谷中七福神」の寺院で知られます。享保年間(1716~35)頃からは、暮れていく日のことを忘れるほど美しい「日暮らしの里」と呼ばれるようになり、現在の「日暮里」となりました。南口は三角帽子屋根型の駅舎(左)で知られ、東口には室町時代の名将・太田道灌(1432~86)の騎馬像(右)も立っています。

谷中七福神は、宝暦年間(1751~64)に始まった江戸最古の七福神です。開帳期間は毎年1月1~10日の9~17時で、七福神が祀られているのは、東覚寺(福禄寿)・青雲寺(恵比寿)・修性院(布袋尊)・天王寺(毘沙門天)・長安寺(寿老人)・護国院(大黒天)・不忍池弁天堂(弁財天)となります。
実際の七福神めぐりでは、東覚寺は田端、弁天堂は上野などきわめて広範囲になり、田端から南下あるいは弁天堂から北上が効率よい七福神めぐりとなります。七福神の描かれた色紙は1500円。それに各寺院で200円払うと御朱印を押してもらえます。まあ、広範囲とはいえ、実際に七福神を全部歩いて回っても2~3時間程度です。
参考に地図にも落としておきましたが、効率のよい回り方はこうなります。
田端駅→(徒歩5分)→東覚寺→(徒歩15分)→青雲寺→(徒歩3分)→修性院→(徒歩15分)→長安寺→(徒歩5分)→天王寺(写真左・毘沙門天堂)→(徒歩15分)→護国院→(徒歩15分)→不忍池弁天堂(写真右)→(徒歩10分)→上野駅
詳しい散策ルートはこちらをご覧ください。
次回の停車駅は鶯谷駅です。

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スタンプ物語23・西日暮里駅

諏訪の台の眺めはなくも

いまも富士が望める富士見坂

西日暮里は山手線内で最も新しくできた駅で、営団地下鉄(現・東京メトロ)千代田線の乗り換え駅として昭和46年(1971)4月20日に開設されました。そのため次の日暮里駅までは500mしかなく、隣駅のホームまで確認できます。
スタンプに描かれているのは、歌川広重『江戸名所百景』のひとつ「日暮里諏訪の台」です。駅から西南に100mほど行くと諏方神社があり、この付近の台地が「諏訪の台」と呼ばれていました。室町後期に名将太田道灌が江戸城を築いた際、当地に出張りの砦を築いたので「道灌山」とも呼ばれています。ただし、現在の諏訪の台からの眺めはビル街だけで、広重が描いたような光景は現在はまったくありません。
諏訪の台には谷中七福神の寺院があり、諏方神社の西にある青雲寺(恵比寿)、修性院(布袋尊)はともに花見寺と言われ、四季折々の花が咲く名所でした。『名所百景』では桜の下で眼下の街並みを望む風景が描かれています。また南にある浄光寺は雪見寺と言われ、古くから家光の鷹狩りの御膳所にもなっていました。

西日暮里駅の過去のスタンプ(現在はなし)には、「富士見坂」が描かれています。西日暮里と日暮里の中間、日暮里3丁目にあり、富士山が見える機会が多いことで知られています。とくに11月と1月に見られるダイヤモンド富士(山頂への日没)の時には、撮影客で坂道が埋まってしまうほどの盛況ぶりです。高層マンションなどの影響で、かなり見辛くはなっているところに、時代の移り変わりを感じさせますが……。
次回の停車駅は日暮里駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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山手線に新駅設置!

すでにスタンプ物語では通過してしまいましたが、田町駅品川駅の間に新駅を設置することが発表されました。詳しくはコチラですが、いちおう本文も掲載します。

【山手線、40年ぶりに新駅…品川―田町間】

JR東日本が山手線の品川―田町駅間(東京都港区)で、約40年ぶりに新駅を建設することがわかった。2013年度に新駅を含む周辺の再開発工事の着工を目指す。
 山手線の新駅は1971年に完成した西日暮里駅(荒川区)以来で、30駅目。再開発エリアは11年末、外資系企業の誘致を図る国の「国際戦略総合特区」に指定され、新駅は同エリアの利便性を高める要となる。
 新駅が予定されているのは、両駅間の港区港南、芝浦付近で、品川駅の北側約1キロの地点。両駅間は2・2キロと山手線の駅間で最も長い。新駅には並走する京浜東北線も停車する計画だ。
 品川駅は東海道新幹線が停車し、羽田空港までは京浜急行線で約15分で結ばれている。27年にはリニア中央新幹線で名古屋まで40分で行ける東京の新たな玄関口となるが、新駅は品川駅から所要約2分で、最も近いJR駅となる。
 再開発が計画されているのは、品川―田町駅間にある車両基地「田町車両センター」(20ヘクタール)の跡地約15ヘクタール。大規模なオフィス街や商業施設の建設が予定されている。国際便が拡大している羽田空港にも近いことから、今回の再開発エリアは、11年12月に国の「国際戦略総合特区」に指定された。国は特区で働く外国人の入国審査などに関する規制を緩和、都は特区内の企業の法人事業税の減免などで、外資系企業の誘致を図っていく。
 JR東では、北関東から上野駅が終着駅となっている宇都宮、常磐、高崎の3路線を東京駅まで延伸し、東海道線と直通運転する東北縦貫線を13年度中に完成させる予定で、その後は東海道線などの車両を止める車両基地が大幅に縮小される。再開発はこの空きスペースを活用する(2012年1月4日14時32分 読売新聞)。

山手線とはいえ、線籍上は東海道本線となりますが、新駅設置計画は以前からあり、駅名は仮称ですが「泉岳寺」と噂されています。同駅名はすでに京急本線・都営地下鉄浅草線にあり、両線の連絡駅としても機能し、東京方面からなら品川よりも乗換えが便利になります。そして駅名の通り、『忠臣蔵』で知られる赤穂義士の墓所がある泉岳寺の最寄駅となるのです。スタンプも「お江戸シリーズ」にちなむなら欠かせない印影になることが期待されますね。ちなみに都営地下鉄ではすでに右のようなスタンプ(ただし、現在はデザインが若干異なります)も設置されています。
新駅が開業しましたら、スタンプ物語でも追記しますのでお楽しみに!

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