仁徳天皇陵を上から眺めたくて昇った展望台から電車が見えた

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[場所]南海電鉄高野線 堺東駅など

大阪府堺市に「百舌鳥古墳群」があり、ココが同府内「古市古墳群」とともに2019年7月6日に「世界文化遺産」に登録されたことは、その頃のTVやインターネットニュースなどで伝えられたので、ご存知の方は多いだろう。さて、そんな古墳だが、写真でよく見る前方後円墳は鍵穴形(個人の感想です)の独特のスタイルをしているが、地平から眺めるとただの丘にしか見えないので、高所から俯瞰して見ないと意味がないと筆者は思っている。コレは、皆さんも同じことを考えているのではないだろうか。

百舌鳥古墳群沿線の駅では世界文化遺産登録のアピールで盛り上がっている。写真は南海電鉄高野線堺東駅のモニュメント。
前方後円墳は空中写真だとその形が解るが、地平からだとご覧の通り、ただの丘にしか見えない。写真は泉北高速鉄道 中百舌鳥-深井 駅間の車窓北西側に見えるニサンザイ古墳。
仁徳天皇陵を南海電鉄高野線の車窓から見られる場所は数少ない。写真は南海の三国ヶ丘駅上り線ホームからの西向きの眺めで、手前の林は源右衛門山古墳、右のやや紅葉した森は大安寺山古墳で、その奥の丘が仁徳天皇陵古墳になる。下を走る電車はJR阪和線 特急はるか 281系ハローキティ「Kanzashi」編成。
というわけで「百舌鳥古墳群」を高所から眺めたく、グーグルマップで俯瞰できる場所を探したところ、堺市役所の高層館が浮かび上がった。それも一番大きくて有名な「仁徳天皇陵」(大仙古墳)の北縁から北北西約700m地点と、俯瞰するのにベストの位置に建っている。ということで、そこから同古墳がどのように見えるか、検証するべく訪ねてみた。

南海・JR三国ヶ丘駅西口駅前広場にある地図による仁徳天皇陵(大仙古墳)D-5と堺市役所高層館E-7の位置関係。ちなみに地図では北が下になる。
南海堺東駅の跨線橋から見た堺市役所高層館。線路は左奥が極楽橋方。電車は手前が南海6200系6551F、奥が南海1000系1002F。
堺市役所高層館下に立てられた案内板。お役所の施設なのになんと「年中無休」。利用時間などは写真内を参照していただきたい。
堺市役所高層館の場所は南海高野線 堺東駅から南南西約150mの地点にある。その北玄関を入ると脇には受付があり、まず展望ロビーへの行き方を訊いてみると「21階にあります。スグのエレベータで上がってください。」との説明はあったが、名前記入などはなく、なのでノーチェックの入場無料ですんなり昇ることができた。
そしてたどり着いた、この展望ロビーからの南方の眺めが下の写真になる。

高層館21階展望ロビー南窓からの眺め。中央の大きな丘が仁徳天皇陵だが、やはり前方後円墳の形は確かめられなかった。なお、中央奥の丘はニサンザイ古墳、右奥の丘は履中天皇陵古墳(百舌鳥耳原南陵)。
展望ロビー南窓前に掲げられている案内板。
ということで結論から先に言うと、やはり21階くらいの高さでは仁徳天皇陵の鍵穴形を確認することはきなかった。
ただし、この古墳の前(後円側だから後ろ?)を通る南海電鉄高野線の線路がバッチリ見えることが解った。そんなわけで、コレもある意味で鉄ネタなのではと思ったので、当サイトにて掲載する運びとなった。
では、どのように電車が見えるか、紹介しよう。

展望ロビー南窓から見えるのは南海高野線 堺東-三国ヶ丘 間。電車は南海6000系。ちなみに、同地点から撮ったタイトル写真の電車は泉北高速鉄道5000系。
電車同士のスレ違いも見られた。左は南海6000系、右は南海1000系。

他の方角からも電車が見える

せっかく高い所に昇ったのだから、他の方向も見ておきたいというのは心情というもの。なので、続いて北向きから眺めてみた。

展望ロビー北窓前に掲げられている案内板。
そうしたら、なんと眼下に南海高野線 堺東駅を俯瞰できた。まぁいま下車して歩いてきた駅なので、見えて当たり前と言ってしまえばその通りだが、一応この眺めを載せておこう。

上の案内板には写っていないが、下に目線をズラスと南海高野線の線路が見える。電車は泉北高速鉄道5000系5503F。なお、右の丘は反正天皇陵古墳(百舌鳥耳原北陵)。
次は西向きに眺めてみた。下写真の説明板中央に「南海本線堺駅」とあるので、そこ付近を走る南海電車が見えるか探したら、堺駅から右へ150mほどのアパホテルの前を走る光景が望めた。とはいえ、高架線区間ゆえに防音壁により車体の上半分しか見えなかったが。

展望ロビー西窓前に掲げられている案内板。記事中の「アパホテル」は案内板中の「阪神高速4号湾岸線」と「J-GREEN堺」を示すのラインの間やや下にある。なお、南海本線を走る電車の写真は、絵にならなかったので掲載なし。
南海本線のトレインビューに関してはやや残念な結果になったが、なんと堺駅へと至るフェニックス通り(上写真中央の並木道)を併用軌道のようなモノが横切っているのが垣間見えたので、しばらく待っていると、路面電車が通る姿が目撃できた。当サイトの読者なら、これが 阪堺電軌阪堺線の線路なのは言わずもがなだろう。
また、鉄ネタではないが、北北西方向に当サイト2017年11月29日アップの記事中で紹介している「港大橋」が遠望できたので、その写真も載せておこう。

「フェニックス通り」(並木道)を横切る阪堺モ501形。後ほどグーグルマップで調べたら、大小路電停の交差点なことが判明した。写真は300mmレンズによる撮影だが、窓ガラスの一部にフィルムが貼ってあるので、超望遠レンズで撮る場合は場所選びに注意が必要だろう。
港大橋は阪神高速道路の道路橋で、スパン日本一のゲルバートラス橋。世界ランキングでもスパン3位。
市役所の施設ではあるのに、年中無休で9時~21時もの間に利用できるのは有難い。
古墳に興味がない方でも、電車好きなら楽しめるハズなので、ぜひどうぞ。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。