カテナリ架線~剛体架線切り替え部分が間近に見られる駅

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[場所]東葉高速鉄道線 船橋日大前駅

剛体架線とは、トンネルなどの天井に支持碍子を介して取り付けたアルミ合金製T形材の下にイヤー・イヤーボルトでトロリー線を固定した架線のことで、地下鉄などに多く見られる。
ある程度の速度を出す普通鉄道では、地上部分にはたいがいカテナリ架線を採用しているので、それならば両方が混在する路線では、地上線のカテナリ架線と地下線の剛体架線が切り替わる地点はどんな構造になっているのか。気になっている人も多いのではないだろうか。
実は、首都圏には約1年半前の2018年3月2日までは、それを間近で見られる駅があった。小田急電鉄小田原線東北沢駅で、かつての仮設プラットホーム新宿寄りから間近に見ることができた。この場所はそれで一部のファンに有名だったが、しかし上記の翌日3日に 代々木上原-梅ヶ丘 間が複々線化された時に常設プラットホームの使用が開始されて、切り替え部分は少し離れてしまい、プラットホーム新宿寄り端から遠望することしかできなくなってしまった。

2018年3月2日まで間近で見られた小田急電鉄小田原線東北沢駅のカテナリ架線~剛体架線切り替え部分。こちらは下り線側で、現在もプラットホームから遠望することはできる。車輛は小田急MSE。
東北沢駅上り線側の剛体架線~カテナリ架線切り替え部分。こちら側も現在でもプラットホームから遠望することはできる。車輛は小田急2000形。
ところで、なんと首都圏にはカテナリ架線~剛体架線の切り替え部分を駅プラットホームから間近に見られる駅が他にもある。それは千葉県の 東葉高速鉄道線船橋日大前駅 で、ならそこではどのくらい間近に見えるのかというのが気になったので、切り替えスタイルを確かめるべく訪ねてみた。

剛体架線~カテナリ架線切り替え部分が間近に見られる場所はプラットホーム勝田台寄りにある。相対式ホームのため対向側が程よい距離で見られる。これは上り線プラットホームからの下り線の眺めで、車輛は東京メトロ15000系
下り線の切り替え部分を通る菱形パンタグラフ。
剛体架線~カテナリ架線切り替え部分を上り線プラットホームから眺めたところ。手前が上り線で、奥が下り線。 右の横向きの碍子は、奥が下り線(奥)のカテナリ線の碍子。手前2つは饋(き)電線の碍子で、画面には入っていないが、さらに手前には上り線のカテナリ線の碍子がある。

下り線プラットホームからの上り線の眺めで、車輛は東京メトロ05系。
上り線の切り替え部分を通るシングルアームパンタグラフ。菱形との通過時の違いは解らなかった。
カテナリ架線~剛体架線切り替え部分を下り線プラットホームから眺めたところ。手前が下り線で、奥が上り線。剛体架線とカテナリ架線が案外離れて設置されていることが解る。
上写真と同じ場所から反対を向いたところ。真ん中の饋電線と剛体架線との間には数ヶ所に渡ってブースターケーブルが設置されているのが解る。車輛は左が東京メトロ15000系、右は東京メトロ05系。
張力調整装置はバネ式を使用している。

カテナリ架線~剛体架線切り替え部分がプラットホームから間近に見られる駅は首都圏では限られるが、遠望できる駅ならまだまだあるし、首都圏以外だったら仙台市地下鉄には数駅あったりするので、他にも探してみるのは面白いかもしれない。
なお、小田急線東北沢駅の仮設プラットホーム時代にカテナリ架線〜剛体架線切り替え部分のパンタグラフ通過シーンを間近に眺めた動画をユーチューブにアップしてあるので、せっかくだからそのリンク(←ココをクリック)も貼っておこう。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。