駅前等にある鉄道系展示品を訪ねる(7後篇)新潟県・糸魚川駅

鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内

[場所]JR北陸新幹線など 糸魚川駅

駅ナカや駅近の鉄道にまつわるオブジェや
モニュメントを訪ねる不定期シリーズです

新幹線高架下に開設された施設ジオステーション・ジオパルの「ジオ」は何を指すのか?

前回の「7前篇」(←その記事はココをクリック)でも少し触れたが、 糸魚川駅アルプス(南)口の北陸新幹線高架下には「糸魚川ジオステーション・ジオパル」という名称のスペースが設置されている。基本的に3ブロックに分かれていて、そのうちの「キハ52待合室」は前篇で紹介しているが、他は「ジオパーク観光インフォメーションセンター」と「ジオラマ鉄道模型ステーション」 という施設名が付いており、まさに「ジオ」づくしになっている。
鉄道好きから見ると、このうちの一つ「ジオラマ鉄道模型ステーション」があるから「糸魚川ジオステーション・ジオパル」なのかな、と勝手に思ってしまいそうだが、どうやらそれだけではないようである。

ジオラマ鉄道模型ステーションの外部からの出入場口。なお隣接する キハ52待合室 からも直接出入場できる。
ジオパーク観光インフォメーションセンターに入ると、観光案内所の対面に置かれた16番のキハ52が3両とNゲージの小レイアウトが出迎えてくれる。ジオラマ模型ステーションへの案内ディスプレイの役目をしているようだ。
「ジオ(Geo)」とは土地や大地の意で、「ジオパーク」は地球活動の遺産を主な見どころとする自然を楽しむ大地の公園で、貴重な地質や自然・文化を守り、かつ多くの人に知ってもらうための学びの場所をいう。
糸魚川市にはそんなジオパークを構成する24のジオサイトがあり、「糸魚川ジオパーク」がユネスコの支援する「世界ジオパーク」に2009年8月に、日本で初めて認定されている。
ジオパークについては、鉄道旅が主役の当サイトとは直接つながらないので、気なった方は他のサイトを検索していただけたらとお願いしたい。また、同様の理由からジオパークの写真の掲載がないこともご理解いただきたい。

ジオパーク観光インフォメーションセンターの出入口。糸魚川ジオステーション・ジオパルのスペースが3つあるうちの東京or直江津寄りにある。館内には、観光案内所・ボルダリング・スライダー(滑り台)などが設置されている。
「糸魚川ジオステーション・ジオパル」の施設名は、一般公募から選定のうえ決定したもので、「ジオ」の文字は「世界ジオパーク」と「ジオラマ」を表しているとのこと。ただし2案を折衷して命名したため、名称に「ジオ」が多くなったと言われている。
そして、この「…ジオ…ジオ…」に次ぐ第三の「ジオ」の字を冠している施設が「ジオラマ鉄道模型ステーション」になる。
ここのジオラマレイアウトは各種サイトに紹介されているので、すでにご存知の方は多いだろう。
場所は前篇で紹介した「キハ52待合室」のさらに富山寄り。外からも入れるが、キハ52 156 の車内を通り抜けても入場できる。なお、入場料が無料なこと(ただし鉄道模型などの運転体験は有料)も嬉しい。
さて、この館内だが、ジオラマレイアウト以外にも見どころがある。 それはスペースのいたるところに鉄道用品などが展示されていて、それらを見学するだけでも飽きないからだ。
ではそんな館内を眺めていこう。

面積を一番占めているNゲージジオラマレイアウトで、山の反対側にも街が広がる。運転体験(有料)には車輛の貸し出しシステムもある。
HOゲージジオラマレイアウトには、糸魚川らしく 赤レンガ車庫 が再現されている。山がかなりの面積を占めているのは、世界ジオパークの町を意識してのことか。こちらも運転体験(有料)ができ、車輛の貸し出しシステムもある。
鉄道模型のショーウインドウも多数ある。これは上がNゲージ車輛で、下は16番スケール車輛の展示。
上は「大糸線乗車記念イベント各駅名札付ストラップ」で、下は一般から寄贈された模型車輛の数々。
サボや駅名標も展示。ショーウインドウの鉄道模型はテーマ別に揃えられている。
ボンネット特急電車のサイドに取り付けられていた「JNR」マークはパネルに貼って展示してある。
ドイツの鉄道模型メルクリンも陳列。展示幅の広さを感じる。
リニアモータカーまで走っている。
かなりマニアックな鉄道部品も展示。そこにナゼかメルクリン。
お子様の記念撮影用の制帽も用意されている。
片隅では鉄道動画も放映されていた。
「糸魚川駅開業100周年記念入場券セット」。こちらも寄贈の品。
ガラスでカバーされているため、反射で判りづらいが、「赤レンガ車庫」の絵画。画面内にはD51形SLとDD13形DLが描かれている。
プラレールのレイアウトも充実。というか、立体的な造りがスゴイことになっている。
プラレールの車輛もショーウインドウに展示されている。一番上段はプラレールアドバンスの車輛。
プラレールの展示はとにかく多い。プラレールに精通した者でなくとも見入ってしまう。
こちらに展示のプラレールは「寄贈していただいた中で、いまでは生産されていない珍しい車輛を集めました」というショーウインドウ。上段にはカプセルプラレールやプラレールアドバンスの車輛なども陳列されている。
「ジオラマ鉄道模型ステーション」のジオラマ鉄道レイアウトは有名なので、モデラーなら訪れたい場所の一つだと思うが、それ以外の鉄道好きでも十分に楽しめる場所なことが判った。
糸魚川駅で乗り換えなどで時間が空いたら、降りて見ることはもちろん、ここが鉄道旅の目的地に組み入れるのも良いかも知れない。

開館時間
ジオパーク観光インフォメーションセンター/8:30~19:00
(7・8・9月は19:30まで)
キハ52待合室/8:30~19:00(7・8・9月は19:30まで)
ジオラマ鉄道模型ステーション/平日10:00~18:00
/土・日・祝9:00~18:30(7・8・9月は19:00まで)
休館日 1月1日

実は、「糸魚川ジオステーション・ジオパル」「ジオラマ鉄道模型ステーション」を訪ねてみて、随分と「ジオ」の文字が重複していて、どれが本名なのか不思議な命名だなと思ったのが、この後篇を書くきっかけにもなっている。筆者が疑問に思ったからといっても、読者の方々の中にはすでに知っている方は多いだろう。2部構成と長くなってしまい、申し訳なく思っている。

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[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。