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我が国唯一のトロリーバスにも乗れる日本有数の山岳貫通ルート
[場所]立山黒部貫光-関電トンネル電気バス
富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートは、標高2,450mの室堂駅を頂点として、乗り物によって(黒部ダム部分は徒歩連絡)立山連峰や後ろ立山連峰をトンネルで抜けて超える山岳観光コースで、途中には雄山や剱岳といった立山連峰が間近に見られる人気の貫通ルートになっている。
その立山黒部アルペンルートだけれども、冬季間は閉鎖されることは皆さんご存知だろう。
この立山黒部アルペンルートが、2024年は4月15日(月)~11月30日(土)の期間に営業されることが先日に発表された。
ところで立山黒部アルペンルートだが、景色はもちろん壮観なのだけれど、ルート上には日本唯一のトロリーバスに乗車できる区間があって、乗り物好きとしても、特に鉄道路線乗りつぶしにチャレンジしている人にとっては外せない場所のハズだ。
そのような、立山黒部アルペンルートの乗り物を、長野県側から富山県側へ向かって順に見ていこう。
立山黒部アルペンルートの乗り物を紹介
立山黒部アルペンルートとは、一般的には関電トンネル電気バス扇沢~黒部ダムと立山黒部貫光黒部湖駅~立山ケーブルカー立山駅 間総延長37.2kmを、特長ある6つの乗り物を乗り継いで移動する山岳観光ルートの総称になるが、この度はJR大糸線信濃大町-扇沢駅 間の路線バスと、立山-電鉄富山 間の富山地方鉄道立山線も含めて紹介していこう。
なお、信濃大町駅-立山駅 間の運行本数などの情報は4月15日~11月30日間の立山黒部アルペンルート営業日のモノであることを申し添えておく。
■アルピコ交通・北アルプス交通路線バス
信濃大町駅-扇沢駅 間にはアルピコ交通と北アルプス交通が共同運行する路線バスが走っていて、乗り場は信濃大町駅の駅前にある。
所要時間は約35分~40分で、運行本数は立山黒部アルペンルート営業期間には日中のみ1時間に1~2本が運行されている。
詳細は下記「アルピコ交通 信濃大町駅-扇沢駅」URLにて。
https://www.alpico.co.jp/traffic/local/hakuba/ogizawa/
■関電トンネル電気バス
標高1,433mの扇沢駅に、路線バスは駅前広場へ到着する。長野県側から見た場合、ここから先が、実質的な立山黒部アルペンルートの起点になる。
逆に帰路(長野県側から見た場合)でも路線バスはこの駅前広場から乗車する。
到着すると西側に大きな建物が建っていて、一段高くなっている場所があるが、そこが関電トンネル電気バス乗り場の入り口になる。
階段を上がると2階が改札口のフロアなっており、ここを通り、さらに階段を上がった3階が電気バスのプラットホームになっていて、ここに標高1,470mの黒部ダム駅へ向かう電気バスが発着している。
関電トンネル電気バスの車輛は日野ブルーリボンをベースとした電気バスで、車載パンタグラフ経由で急速充電を行う特長を持っている。
扇沢駅~黒部ダム駅 間の所要時間は16分で、日中30分ごとのダイヤが組まれている。この区間の場合続行運転がなされているので、ハイシーズンの朝の黒部ダム行と夕方の扇沢行以外ならまず着席できると思われる(座れなかった時にも当サイトは責任はとりません…汗)。
この区間はほぼトンネルなので実感は湧かないが、コレにて後ろ立山連峰を超えたことになる。
ところでこの区間にて電気バスが運行を開始したのは2019年4月15日からで、その前年まではトロリーバスが運行されていた。その話を当サイト鉄道旅のガイド2018年8月13日アップ「2018年11月30日で見納め 屋外で見れるトロリーバス架線分岐」において紹介しているので、気が向いたら見ていただければ有りがたい。
■黒部ケーブルカー
関電トンネル電気バス黒部ダム駅~黒部ケーブルカー黒部湖駅間の黒部ダム上は徒歩にての移動連絡になる。
黒部ダムの上を歩いて進むとトンネルが見えてくる。このトンネルを入った先に黒部ケーブルカーの黒部湖駅がある。
黒部湖駅標高1,455m~黒部平駅標高1,828m 間は全線トンネルで、所要時間は6分、日中ほぼ20分間隔で運転されている。
黒部ケーブルカーの開業は1969年7月20日。車輛はレトロな顔をしているが、ナント汽車会社製を使用しているということで、このスタイルはうなづける。
■立山ロープウェイ
黒部平駅駅~立山連峰東面の大観峰駅標高2,316m 間はロープウェイにて結ばれている。
このロープウェイの特長として、乗降場間に支柱がないワンスパン方式になっているのだが、このスパンが日本一の長さになっている点が挙げられよう。
所要時間は7分で、日中ほぼ20分間隔で運転されている。
立山ロープウェイが開業したのは1970年7月25日になる。
■立山トンネルトロリーバス
大観峰駅~立山連峰西面の室堂駅標高2,450m間はトロリーバスにより移動することになる。冒頭でも触れたが、コレが日本唯一のトロリーバス路線で、無軌条電車という扱いになり、この室堂駅は鉄道事業法による鉄道駅としては日本一の高さにある。
ただし日本一の高さにある鉄道路線とはいえ、全線トンネル内なので、その実感はあまり湧かないかも知れない。
車輛形式は8000形で、電化方式は直流600V。
所要時間は10分で、運転間隔は日中30分。先の関電トンネル電気バスと同様に続行運転がなされている。
コレにて立山連峰を超えたことになる。
■立山高原バス
室堂~立山ケーブルカー美女平駅標高977m間は有料道路だが、この道路はマイカー規制により一般車は走れないため、公共交通利用の観光客は乗合バスの立山高原バスを利用することになる。
現在はハイブリッドバスとクリーンディーゼルバスにより運行されている。
所要時間は約50分で、運転間隔は日中ほぼ40分ごと。
■立山ケーブルカー
標高977mの美女平駅~標高475mの富山地方鉄道立山駅 間は立山ケーブルカー利用になる。
立山ケーブルカーは、富山側から見たら最初の難所であるが、この度は扇沢バス停側から眺めているため、当記事では仕上げの乗り物としての紹介になる。
特長としては、ケーブルカーながら貨車を連結しているトコロにあろうか。
所要時間は7分で、運転間隔は日中ほぼ20分ごと。
立山黒部アルペンルートの詳細は下記URLにて。
https://www.alpen-route.com/index.php
このURLから「時刻表」「運賃」は元より「総合案内>手荷物・車回送」などへ跳んでいける。
別件になるが、鉄道好きなら立山駅に隣接して立山砂防工事専用軌道の基地があることはご存知であろう。
その辺を当サイト鉄道旅のガイド2016年1月12日アップ「貨物列車のムック本の付録DVDが何と『立山砂防軌道』前面展望!!」の中にて紹介しているので、気が向いたら見ていただけたら有りがたい。
富山地方鉄道立山線
立山黒部アルペンルートとしては 扇沢駅-立山駅 間だが、やはり富山駅までのルートを紹介しなくては…ということで、富山地方鉄道(以後「地鉄」と表記)立山線を紹介させていただく。
地鉄立山線立山駅-電鉄富山駅 間の所要時間は約1時間強。16010形元・西武鉄道のレッドアローや20020形元・西武NRA、10030形元・京阪3000系も走っている、立山黒部アルペンルート以外が目的でも楽しめる路線でもある。まぁ当サイトの読者にはイマサラのことではあるが、ナゼ紹介したのかというと、地鉄が2024年4月15日にダイヤ改正を予定しているからになる。
これにより、特急列車の運行を増発するとのこと。
詳細は下記URLにて。
https://www.chitetsu.co.jp/?p=70820
立山黒部アルペンルートWEBきっぷ
立山黒部アルペンルートは個別区間で購入できるし(4月15日~GW期間は枚数限定の乗り物がある)、また通しのきっぷも発売されている。だが同ルートの乗車券がもしもの満席で乗れないこともあるため、確実に予定ルートを辿りたい場合には「立山黒部アルペンルートWEBきっぷ」をお勧めしたい。
「立山黒部アルペンルートWEBきっぷ」ご購入サイト
https://tateyama-kurobe-webservice.jp/AlpenTour/html/VW001W0010.html
JR東海・JR西日本が販売するお得なきっぷ
JR東海の静岡~JR西日本の姫路の東海道筋 間からの利用で、湖西線or北陸本線-北陸新幹線or高山本線~立山黒部アルペンルート~信濃大町からの大糸線・篠ノ井南線・中央西線(名古屋から先の利用は~東海道新幹線など)といったルート(逆回りもあり)の「立山黒部アルペンきっぷ」が2024年4月15日~11月30日間(GWと8月お盆期間を除く)に発売開始される。
文字で述べると話が長くなるわりに、コース図のビジョンが伝わりづらいので、詳細は下記URLにて。
https://railway.jr-central.co.jp/tickets/otoku_tateyamakurobe/
立山黒部貫光 立山トンネルトロリーバスは2024年がラストシーズン
立山黒部アルペンルートの一翼を担う立山黒部貫光「立山トンネルトロリーバス」は、日本国内唯一の現役トロリーバスになる。
このトロリーバスだけれども、実は2024年がラストシーズンになる。そして、最終日の11月30日をもって廃車される。
この辺の話は、当サイト2024年4月3日アップ「日本唯一の現役トロリーバスのラストシーズン4月15日から始まる」の記事にて紹介しているので、併せて読んでいただけると有りがたい。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。