鉄道旅を一層たのしくする車窓・施設案内シリーズです。
[場所]JR予讃線 下灘駅vsJR土讃線 安和駅
日本一海に近い駅は見解の相違があり、当サイトでも2015年12月7日にアップした『JR信越本線 青海川駅』の記事は「日本海に一番近い駅」(←その記事はここをクリック)というタイトルを使っている。さて、エリアを絞り込んだ場合、四国で海に一番近い駅といえば、TV効果もあってかJR予讃線 下灘駅を思い浮かべる人は多いだろう。
ところが「海とはどこからを指すのか」と考えた場合、「JR四国で海に一番近い駅」として、もぅひとつの駅が挙がってくる。それがJR土讃線 安和駅だ。
グーグルマップで見る限り、海岸線までは下灘駅が約40m、安和駅が約50mと下灘駅に分がありそうだが、ここで考慮したいのは海には干満があるという点。下灘駅の防潮堤と安和駅の浜堤からの距離をくらべると、下灘駅は上記と変わらずの約40mだが、安和駅は20m程になる。
では、我が国海上保安庁における「陸と海の境界」の定義の一部を抜粋して紹介しよう。
「日本の海図では、海面が満潮時の『最高水面』と呼ばれる海岸線を、陸と海との境界と決めております。『最高水面』というのは、その場所において年間を通じて、満潮の高さや時間を観測した結果、もうこれ以上には(平穏時において)海水が上がってこないであろうと考えられる海面のことです。」
ということは、「海岸線」としては、安和駅はやはり海から20m程の距離にあることになる。
どこからが海か、という見解は人によりマチマチであろうから、「JR四国で海に一番近い駅」の結論はここでは出さないでおこう。決めるのはアナタしだいです。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。