JR気仙沼線BRTに乗ってみました 気仙沼 -> 柳津

鉄道旅を一層たのしくする車窓案内シリーズです。
今回は東北地方。JR気仙沼線です。

震災からバスで仮復旧!BRT

今回は鉄道ではなく、BRTの車窓案内をいたしましょう。
まずBRTとは何か。それは『バス・ラピッド・トランジット』の略で、海外では大都市内にバス専用道路を作り、バスが混合交通における渋滞での遅延回避や、専用道を作ったことにより大容量車輌を導入して大量輸送を可能にしたシステムを指す場合が多いが、日本では鉄道線の廃線跡をバス専用道路に転用して、バスの速達性を向上させたシステムを指す場合が多い。近年に運行開始された路線としては、日立電鉄線を転用した ひたちBRT、鹿島鉄道線を転用した かしてつバス等がこれにあたる。また廃線ではないが、今回紹介のJR気仙沼線気仙沼駅-柳津駅間や、JR大船渡線 気仙沼駅-盛駅間に運行されているバスもBRTと呼ばれている。

さて、縁あって2014年10月に宮城県気仙沼市の仮設住宅に住む知人を訪ねる用事があり、丁度良い機会なのでその訪問の復路にJR気仙沼線BRTを気仙沼駅から柳津駅まで利用してみた。ということで、その時に撮った写真でこの区間を北側から南側に辿ってゆきたい。ちなみに写真は車窓左側(海側)からの撮影がメインになっている。

専用道と一般道を出たり入ったり

ここで豆知識をひとつ。JR気仙沼線のBRTは線路転用専用道と一般道とをその都度により出入りを繰り替えして走ってゆく。2015年5月時点で専用道になっている区間は北から順に、気仙沼駅-不動の沢駅、松岩と最知の間-陸前階上と大谷海岸の間、小金沢と本吉の間-本吉駅、陸前小泉と蔵内の間-歌津駅、清水浜駅-志津川駅※、志津川と陸前戸倉の間-陸前戸倉駅で、その他が一般道を走行する。これを頭に入れて見ていただけるとBRTの旅の雰囲気がより伝わりやすいかなとも思う。
※ベイサイドアリーナ駅経由のBRTはこの区間の専用道を通らない。

最知駅付近の専用道を走るBRT本吉行。車輌は日野ブルーリボンシティハイブリッド。
最知駅付近の専用道を走るBRT本吉行。車輌は日野ブルーリボンシティハイブリッド。

気仙沼駅を盛側から眺めてみると、山側にBRTの車庫があるのが判る。
気仙沼駅を盛側から眺めてみると、山側にBRTの車庫があるのが判る。

上写真の地点から180゜反対側の盛方向を眺めた光景。この写真を撮った2014年10月時点ではご覧の通りだったが、その後に整備され、2015年3月14日から鹿折唐桑までBRT専用道が供用開始されている。
上写真の地点から180゜反対側の盛方向を眺めた光景。この写真を撮った2014年10月時点ではご覧の通りだったが、その後に整備され、2015年3月14日から鹿折唐桑までBRT専用道が供用開始されている。

気仙沼駅から専用道を通ってきたBRTは不動の沢駅から一般道へ入る。その右折時の柳津方向の眺め。ちなみにBRTのルートでは大川は渡らず、県道26号線を南下する。
気仙沼駅から専用道を通ってきたBRTは不動の沢駅から一般道へ入る。その右折時の柳津方向の眺め。ちなみにBRTのルートでは大川は渡らず、県道26号線を南下する。

松岩-最知間で一般道から専用道へ入る時の気仙沼方向の景色。
松岩-最知間で一般道から専用道へ入る時の気仙沼方向の景色。

陸前階上-大谷海岸間で専用道から一般道へ入る時の柳津方向の光景。写真中央の橋台に載っていた橋桁が流されたことが、ここで専用道が途切れている理由らしい。
陸前階上-大谷海岸間で専用道から一般道へ入る時の柳津方向の光景。写真中央の橋台に載っていた橋桁が流されたことが、ここで専用道が途切れている理由らしい。

小金沢-本吉間の専用道にあるトンネル。いかにも鉄道隧道という形体で、かつて列車が走っていた頃に想いを馳せる。
小金沢-本吉間の専用道にあるトンネル。いかにも鉄道隧道という形体で、かつて列車が走っていた頃に想いを馳せる。

鉄道線の本吉駅ホーム前を通り過ぎて、本吉駅の駅前広場にBRTは発着。
鉄道線の本吉駅ホーム前を通り過ぎて、本吉駅の駅前広場にBRTは発着。

本吉-陸前小泉間ではコンクリート橋梁の橋桁が流失している姿が目撃できる。写真は海側。
本吉-陸前小泉間ではコンクリート橋梁の橋桁が流失している姿が目撃できる。写真は海側。

上写真の橋梁の反対側面を柳津側から眺めたところ。橋脚はしっかりしているので、BRT専用道としての復活ならただちにできそうな気もするが。
上写真の橋梁の反対側面を柳津側から眺めたところ。橋脚はしっかりしているので、BRT専用道としての復活ならただちにできそうな気もするが。

陸前小泉駅は、津波により滅茶苦茶に破壊されていた。
陸前小泉駅は、津波により滅茶苦茶に破壊されていた。

歌津駅手前で専用道から一般道に入る。窓の先に見えるのが歌津駅ホーム。
歌津駅手前で専用道から一般道に入る。窓の先に見えるのが歌津駅ホーム。

清水浜駅付近の気仙沼側にある橋梁。大きく崩壊している箇所は築堤だった部分だと思われる。
清水浜駅付近の気仙沼側にある橋梁。大きく崩壊している箇所は築堤だった部分だと思われる。

写真中央に見えるのは清水浜駅で、ベイサイドアリーナ駅を回らないルートを取るBRTは、その先から専用道を利用して志津川まで一気に抜ける。
写真中央に見えるのは清水浜駅で、ベイサイドアリーナ駅を回らないルートを取るBRTは、その先から専用道を利用して志津川まで一気に抜ける。

筆者はおはずかしい話し、途中に通る志津川駅が『南三陸町』だったということを、いまさらながらであるが、この旅で初めて知った。ベイサイドアリーナ駅の丘陵から国道45号線を南に下りはじめると目の前には雑草に覆われた平原が広がる。そんな平原ではあるが、区画された道路の跡が残り、そこがかつて自身が列車で幾度か通ったり下車したりした志津川の町であったことは一目で判った。目で線路跡を追ってゆくと、志津川駅も草蒸してはいたがすぐに見つかった。そしてその左側(北東側から見て)には東日本大震災の映像で何度も観た南三陸町の防災対策庁舎の鉄骨むきだしの建物がポツンと建っている。そこまで見てやっと南三陸町が2005年の合併まで『志津川町』だった場所だと知り、印象が残っている町の変わりようと、いままでそれと気づかなかったことに、とたんに衝撃を受け猛省してしまった。

志津川駅を気仙沼側にある跨線橋上から眺めたところ。草蒸してはいるが、そこが駅であったことはハッキリと判った。
志津川駅を気仙沼側にある跨線橋上から眺めたところ。草蒸してはいるが、そこが駅であったことはハッキリと判った。

上写真の地点から180゜反対側を眺めると清水浜-志津川間の志津川側専用道の出入り口が見える。
上写真の地点から180゜反対側を眺めると清水浜-志津川間の志津川側専用道の出入り口が見える。

この文章を書いている本日(2015年5月26日)に、この『南三陸町防災対策庁舎』が震災遺構として保存が決定したとのニュースが伝わってきた。平地で海辺から400mも内陸に入った地点にあるにも関わらず、この建物の高さを超えた15.5mの津波が押し寄せたというその凄さを実際に証言する場として、後世に残すことは適切なことだと私は思う。

一長一短のBRT

柳津駅に到着すると、BRTは柳津駅-本吉駅間では日中1時間に約1本あるのに対して、鉄道線の柳津駅-前谷地駅間の列車は日中2〜3時間に1本と本数が激減する。この不便さはどうにかならないかと思っていたが、2015年6月27日にはBRTが前谷地駅まで運行区間を延伸するというニュースもあり、ある程度は便利になると思われる。しかしこの延伸では柳津駅-前谷地駅間の途中駅には停車しないとのこと。個人的には途中駅にどうせ停まらないのであれば、国道45号線が通っているルート構成や、2015年5月30日の仙石線全線再開と仙台東北ライン開通を鑑みると、BRTはせめて定時運行が確保できるであろう日中の時間帯には柳津駅から石巻駅に直行したほうが利用者にとっては便利なのではないかと考えるが。

陸前戸倉駅で専用道から一般道へ入る時に気仙沼方向を眺めると、専用道はトンネル区間などを利用して一般道を短絡させ、運転時分の短縮を目指していることが窺える。
陸前戸倉駅で専用道から一般道へ入る時に気仙沼方向を眺めると、専用道はトンネル区間などを利用して一般道を短絡させ、運転時分の短縮を目指していることが窺える。

柳津駅が見えてきた。ここで跨線橋を渡り、左折すれば終着だ。
柳津駅が見えてきた。ここで跨線橋を渡り、左折すれば終着だ。

本日乗車してきたBRT、日野ブルーリボンシティハイブリッドが柳津駅前でしばしの休憩。ちなみにこのバスには前面に『BRT』のヘッドマークが付いているから判りやすいが、たまに『JR』マークはあるものの『BRT』の文字がどこにもないバスがくるので、路面に設置された駅から乗る場合には注意が必要。筆者もそれで『南気仙沼駅』で朝の1本を乗り逃した。
本日乗車してきたBRT、日野ブルーリボンシティハイブリッドが柳津駅前でしばしの休憩。ちなみにこのバスには前面に『BRT』のヘッドマークが付いているから判りやすいが、たまに『JR』マークはあるものの『BRT』の文字がどこにもないバスがくるので、路面に設置された駅から乗る場合には注意が必要。筆者もそれで『南気仙沼駅』で朝の1本を乗り逃した。

柳津駅から眺めた気仙沼方向。中央上の白い跨線橋が先ほどBRTで通ってきた道。
柳津駅から眺めた気仙沼方向。中央上の白い跨線橋が先ほどBRTで通ってきた道。

柳津駅に前谷地方向から到着するキハ100系キハ110形キハ110-124。バスに長いこと揺られてきたあとに、鉄道車輌を見るとホッとする。
柳津駅に前谷地方向から到着するキハ100系キハ110形キハ110-124。バスに長いこと揺られてきたあとに、鉄道車輌を見るとホッとする。

下記のURLから、BRTの走行シーンが視聴できます。
https://youtu.be/7t_stl5-CKQ

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。

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