JR681系と683系の先頭車における見分け方

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[場所]JR北陸本線 JR湖西線 JR東海道本線など

なんか鉄道旅で乗る分にはどぉでも良いネタなのだけど(でも読んでください)、2019年2月28日アップの「複線の下り線を逆走する上り電車」の中で掲載した写真の中の上から7枚めに特急しらさぎの走行シーンを載せたのだけれども、実はこの形式を681系or683系か推定するために、かなりの時間を費やしてしまった。
筆者が鉄道車輛の形式の見分け方のシロウトだというのを露呈(表には出ていないが)してしまった一件であった。
ということで、反省を兼ねてこの一年半を掛けて(中京・関西へ行く機会が少なかったのもあります)、681系と683系の、貫通側先頭車あたりだけを見ての瞬時の見分け方を研究して記事にしてみた。

これが2019年2月28日アップの「複線の下り線を逆走する上り電車」の中で掲載した、当初681系or683系…車輛形式不明の写真。東海道本線 関ヶ原駅東方。
この2形式に関して詳しい方なら、流線形側で見分けがつくと思う。まぁ筆者もこのくらいは分かる(言い訳)のだが、貫通側はかなりの観察力がないと区別がつかないのではないかと思われる。

681系しらさぎカラー流線形側。東海道本線 尾張一宮駅。
683系しらさぎカラー流線形側。東海道本線 名古屋駅。
上が681系で下が683系なのは一目瞭然だろう。
では貫通側を見ていこう。

左681系T14編成クハ680-502。右683系T52編成クモハ683-5512。タイトル写真の連続撮影1枚前。北陸本線 金沢駅。
上の写真は左が681系、右が683系で、タイトル写真の1コマ前だが、サイドから見るとそっくりである。ところが、こちらの写真には見分けるヒントが隠されている。
ちなみに台車は左の681系がWTR300、右の683系がWDT301で、こぉして並べて見たら違いが分かるが、おそらく片方だけを単体で見たら、筆者も含めた一般人には区別がつかないのではないだろうか? ということで、「見分け方」はコレではない。
では、681系と683系貫通側を同じ向きで並べてみてみよう。なお、681系貫通側に関しては、サンダーバードカラーは現状では特急ダイナスター運用に運良く入るか、もしくは特急ビジネスサンダーバードなど臨時列車に付属編成が運良く入った時の金沢(和倉温泉)側でしか見ることできないため、現時点では写真がない。なので、右斜め前ではカラーリングが合っていない点は気にせずに眺めていただきたくお願いしたい(汗)。
それと、車番に関しては先頭車の番号を記している点をご理解いただきたい。

左681系左斜め前。W07編成クモハ681-502。右はJR東海311系。東海道本線 尾張一宮駅。
683系左斜め前。小ぶりのサイドスカートが配されている。N03編成クモハ683-8501。東海道本線 名古屋駅。
681系右斜め前。W02編成クモハ681-508。上記の理由により比較なのにカラーリング違いで失敬。北陸本線 敦賀駅。
683系右斜め前。R10編成クモハ683-3522。湖西線 和邇駅付近。
簡単な見分け方は前面が1点、側面が2点ある。
さて前面だが、見分け方は手すりがあるかないか。手すりがないのが681系、手すりがあるのが683系になる。ただし例外がある(後述)。
ということで、確実に見分けるためには側面で判断することになる。
まず側面窓が681系では連続窓だが、683系では座席2列毎の独立窓になっている。カラーリングが窓回りに黒を塗ってあるためパッと見では区別しずらいが、じっくり眺めれば違いが判断できる。

681系の側窓は連続窓。ガラスに段差がなく、継ぎ目はシーリング材になっている。クハ680-2502。
683系の側窓は座席2列毎の独立窓になっている。窓回りを黒に塗ってあるため解りずらいが、光線具合などで瞬時でも解る場合がある。クロ683-1。
それと車体下に小振りなサイドスカートが配されていないかいるかが見分ける判断ポイントになる。ないのが681系、あるのが683系だ。
そんなわけで、2019年2月28日アップの「複線の下り線を逆走する上り電車」の中で掲載した写真の特急しらさぎは681系という結論に達した。

■683系異端車(笑)3題
前述したが、683系貫通形には前面に手すりがないその点のみなら一見681系に見えてしまう番台がある。また貫通形のフリをした非貫通形だったりする番台もある、あとサンダーバード旧塗装車もいるから、せっかくなのでその写真も載せておこう。

前面に手すりがない683系はV31~V34編成。そこだけ見ると681系と思ってしまうが、サイドのショートスカートが683系の証し。なおV編成でもV35・V36は手すりがあるので、判断には注意が必要。683系V32編成クハ683-702。湖西線 和邇駅付近。
683系先頭車にはいわゆる183系や485系などでいうところの非貫通形が存在する(なので当サイトでは681系クハ681・クロ681と 683系クロ683-0番台・クロ683-8000番台を「流線形側」と表現している)。番台はクロ683-4500番台で全12編成が存在している。ということで、それほどレア形式ではないが、関東人の筆者にとっては稀少派?(笑)なので取り上げてみた。683系T52編成クロ683-4512。東海道本線 山科駅。
683系R編成の中にはナゼか(理由は長くなるので省略)サンダーバード旧途装車がいる。この写真はR14編成で、この他にR15編成も旧サンダーバード色で現状活躍している。683系R14編成クハ683-2701。湖西線 和邇駅付近。
また上記の他、しらさぎカラーの683系がサンダーバードに入っているのを目撃しているので、この辺は運用を眺めているとなかなか面白いかも知れない。

せっかくなので米原駅における681系+683系増結シーンを連続写真で載せておこう

特急しらさぎの中には東海道本線と北陸本線の分岐駅である米原駅で増結編成を連結解放する列車がある。
筆者がたまたま5番線にてその増結する場面に、約1年半前(コロナ禍前)に遭遇した時のシーンを撮ってあったので、それを連続写真で紹介しておこう。

名古屋・金沢方の基本編成は683系N03編成で、先頭はクモハ683-8501。
683系の貫通扉を開けたところ。
貫通扉を開けて右(大阪方)からくる増結編成を待つ683系。
右(大阪方)から近づいてきた681系増結車はN12編成クハ680-2502。
まず向かって左の貫通扉が開く。
そして向かって右の貫通扉も開いて全開になる。
右の増結編成が左の基本編成へ徐々に近づいて…。
連結。
そして幌をつなぐ。左683系の運転台の上には手すりがあるのが見てとれる。
左(名古屋・金沢方)から681系方を眺めたトコロ。運転台の上に手すりがない。コレが両形式を見分けるポイントの一つと言える。
貫通扉の開いた内側に、左683系には手すりがあり、右681系には手すりがないのが解るだろう。
ふた昔前くらいの気動車急行だったら分割併合は全国各地で見られた光景で、いまでも在来線優等列車の本線上における分割併合はそれなりに見られるが、増結解放で貫通幌までつなぐのはかなり貴重な存在なのではないだろうか。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。