「鉄道旅行」カテゴリーアーカイブ

スタンプ物語24・日暮里駅

250年前から始まる七福神

スタンプとは別の御朱印集め

常磐線を分岐する日暮里駅のスタンプは「谷中七福神」です。現在のスタンプは七福神が描かれていますが、国鉄時代の「わたしの旅スタンプ」時代のもの(現在はなし)は日暮里駅最寄の「毘沙門天」が祀ってある天王寺が描かれていました。

日暮里は西日暮里同様、諏訪の台にある「谷中七福神」の寺院で知られます。享保年間(1716~35)頃からは、暮れていく日のことを忘れるほど美しい「日暮らしの里」と呼ばれるようになり、現在の「日暮里」となりました。南口は三角帽子屋根型の駅舎(左)で知られ、東口には室町時代の名将・太田道灌(1432~86)の騎馬像(右)も立っています。

谷中七福神は、宝暦年間(1751~64)に始まった江戸最古の七福神です。開帳期間は毎年1月1~10日の9~17時で、七福神が祀られているのは、東覚寺(福禄寿)・青雲寺(恵比寿)・修性院(布袋尊)・天王寺(毘沙門天)・長安寺(寿老人)・護国院(大黒天)・不忍池弁天堂(弁財天)となります。
実際の七福神めぐりでは、東覚寺は田端、弁天堂は上野などきわめて広範囲になり、田端から南下あるいは弁天堂から北上が効率よい七福神めぐりとなります。七福神の描かれた色紙は1500円。それに各寺院で200円払うと御朱印を押してもらえます。まあ、広範囲とはいえ、実際に七福神を全部歩いて回っても2~3時間程度です。
参考に地図にも落としておきましたが、効率のよい回り方はこうなります。
田端駅→(徒歩5分)→東覚寺→(徒歩15分)→青雲寺→(徒歩3分)→修性院→(徒歩15分)→長安寺→(徒歩5分)→天王寺(写真左・毘沙門天堂)→(徒歩15分)→護国院→(徒歩15分)→不忍池弁天堂(写真右)→(徒歩10分)→上野駅
詳しい散策ルートはこちらをご覧ください。
次回の停車駅は鶯谷駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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スタンプ物語23・西日暮里駅

諏訪の台の眺めはなくも

いまも富士が望める富士見坂

西日暮里は山手線内で最も新しくできた駅で、営団地下鉄(現・東京メトロ)千代田線の乗り換え駅として昭和46年(1971)4月20日に開設されました。そのため次の日暮里駅までは500mしかなく、隣駅のホームまで確認できます。
スタンプに描かれているのは、歌川広重『江戸名所百景』のひとつ「日暮里諏訪の台」です。駅から西南に100mほど行くと諏方神社があり、この付近の台地が「諏訪の台」と呼ばれていました。室町後期に名将太田道灌が江戸城を築いた際、当地に出張りの砦を築いたので「道灌山」とも呼ばれています。ただし、現在の諏訪の台からの眺めはビル街だけで、広重が描いたような光景は現在はまったくありません。
諏訪の台には谷中七福神の寺院があり、諏方神社の西にある青雲寺(恵比寿)、修性院(布袋尊)はともに花見寺と言われ、四季折々の花が咲く名所でした。『名所百景』では桜の下で眼下の街並みを望む風景が描かれています。また南にある浄光寺は雪見寺と言われ、古くから家光の鷹狩りの御膳所にもなっていました。

西日暮里駅の過去のスタンプ(現在はなし)には、「富士見坂」が描かれています。西日暮里と日暮里の中間、日暮里3丁目にあり、富士山が見える機会が多いことで知られています。とくに11月と1月に見られるダイヤモンド富士(山頂への日没)の時には、撮影客で坂道が埋まってしまうほどの盛況ぶりです。高層マンションなどの影響で、かなり見辛くはなっているところに、時代の移り変わりを感じさせますが……。
次回の停車駅は日暮里駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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震災復興を願うスタンプ

スタンプを押しに行くことが

東北の鉄道を救う一助になる!

ちょうど1年前のこの日3月11日、東日本大震災によって多くの人々の命が失われたばかりか、東北地方の鉄道は津波によって失われたところも含め、莫大な被害を受けました。ただでさえ経営が苦しかった東北地方のローカル線は窮地に陥り、とくに太平洋沿岸地域の路線は復旧のメドが立っていないところもあります。

この救済として様々な試みがなされていますが、「みちのく鉄道応援団」では、震災復興をメッセージに入れた駅のスタンプを寄贈しました。鉄道に乗ってスタンプを押しに行くことが、窮地にあえぐ鉄道を救う一助になるわけです。
スタンプは会津鉄道の芦ノ牧温泉と阿武隈急行の福島駅ですが、現在のところ下記の駅にスタンプの寄贈が確認されています(STATION STAMPサイトより)。

仙台空港鉄道(せきのした・美田園・仙台空港)
福島交通(桜水・飯坂温泉)
阿武隈急行(福島・梁川・丸森)
会津鉄道(芦ノ牧温泉・湯野上温泉)
今春はぜひスタンプを押しに東北の鉄道へ出かけてみてはいかがでしょうか。

反面、今回の震災によって押せなくなってしまったスタンプも多々あります。津波で壊滅的な被害を受けた気仙沼線大谷海岸駅(左)は、有志の方が寄贈したスタンプがあったのですが、併設の道の駅とともに損傷し、地盤沈下を起こしていることから同地での営業再開は不可能になっています。また常磐線木戸駅(右)は福島第一原子力発電所事故によって警戒区域内にあり、立ち寄ることすら叶いません。だが、スタンプは印影さえあれば、いくらでも復刻可能ですから、いつか上記のスタンプが復刻され、押しに行ける日を待ち望んでいるのです。

ということで、震災からの復興をメッセージにした本が3月9日に刊行されましたので紹介します。
『甦れ! 東北の鉄路』(大穂耕一郎編/インフォレスト・パブリッシング)

B5変形 160ページ 1680円 購入はコチラ

現在は東京から秋田に移住し、NPO秋田内陸線沿線エコミュージアム会議理事をつとめる大穂耕一郎氏が、長年撮りためた東北地方のローカル線を国鉄時代のもの含め、JR、第三セクター、私鉄、今はなき廃線まで含めた45線の写真集で、巻末には輸送密度や1日平均乗降客数を網羅した駅データ資料を付録につけました。不通区間以外のスタンプ押印可能駅や、硬券入場券購入可能駅もデータになっていますので、乗りつぶしやコンプリート資料としても重宝します。ぜひ購入して東北ローカル線の旅を楽しんでください!


※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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スタンプ物語22・田端駅

駅舎改築でスタンプも一新

田端文士村記念館にも寄りたい

スタンプは「駅舎と新幹線」です。描かれている駅舎は、2008年7月に開業した北口の駅ビルアトレヴィ田端店です。北口は都道458号線に面して、このような変貌を遂げましたが、南口のほうは対照的に小さな駅舎が残っています。
山手線は田端で再び京浜東北線と合流しますが、この京浜東北線と並行して東北・山形・秋田・上越・長野新幹線が走っています。新幹線の高架の下に田端車両基地と機関区があり、はやて・こまち・やまびこ・つばさ・とき・あさまなど各新幹線の車両が見られ、機関区にはEF81・EF66の電気機関車やその他の車両があるので、レイルファンには見逃せない場所です。

実は田端駅のスタンプは、お江戸シリーズでも一度更新されています。2008年に駅ビル誕生に伴い、駅舎が改築されたからで、それ以前のスタンプ(左)は絵柄のような簡素な駅舎だったのです。現在このスタンプは残念ながらありませんが、北口みどりの窓口にはそれ以前の開業百周年のスタンプ(右)が保管されています(2011年1月現在)。明治29年(1896)開業で、百周年が平成8年(1996)ですから、すでに110周年を昨年迎えていますが、ただでさえ押す機会の少ない記念スタンプを、ファンのために残してくれているのは嬉しいことですね。

スタンプは鉄道中心の紹介となっていますが、付近には名所・旧跡もたくさんあります。田端は元々閑静な農村でしたが、上野に東京美術学校(現・東京芸術大学)ができると、小杉放庵(洋画)や板谷波山(陶芸)など若いアーティストたちが住むようになり、大正3年(1914)に小説家の芥川龍之介が転居してきたのを皮切りに、室生犀星・荻原朔太郎・菊池寛なども集まるようになり、文士村が形成されました。北口から徒歩1分のところに「田端文士村記念館」があり、各文士たちの旧居跡を記した散策マップが手に入りますので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。右のようなスタンプもあります。

この文士村エリアには赤紙仁王(写真左)で知られる東覚寺があります。寛永18年(1641)に彫像された二体の金剛力士像があり、寺で分けられる2枚の赤紙(有料)を自分の治癒したい部分にそれぞれ貼るとご利益があるとされ、治った場合は草鞋を奉納します。他にも上野戦争のときに彰義隊が隠れたという洞窟がある田端八幡神社や、相模小田原藩大久保家と伊勢亀山藩石川家の菩提寺である大久寺、正岡子規の墓(写真右)がある大竜寺など、由緒ある寺社も点在。画面だけで語り尽くせないのが田端なのです。
次回の停車駅は西日暮里駅です。

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※スタンプは紛失・摩滅・取替などの事情により、ない場合もございますのでご了承ください。また、駅員のいない時間帯は押せないこともありますのでご注意ください。
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スタンプ物語21・駒込駅

柳沢吉保造園の六義園

駅のツツジもお忘れなく!

スタンプは「六義園とつつじ」です。六義園は南口から徒歩7分。徳川5代将軍綱吉の側用人・柳沢吉保が元禄8年(1695)に駒込の地を拝領し、7年がかりで下屋敷と「回遊式築山泉水庭園」を造り上げました。「六義園」という名称は、中国の古い漢詩集『毛詩』の「詩の六義」、すなわち風・賦・比・興・雅・頌という分類法を、紀貫之が転用した和歌の「六体」に由来しています。まさに吉保の文学的造詣の深さを象徴する庭園といえます。明治21年(1888)に、三菱創設者の岩崎弥太郎氏が購入し、昭和13年(1938)に東京市に寄贈されて一般公開されることになりました。昭和28年(1953)には国の名勝に指定されています。桜や紅葉など四季折々の風景が楽しめる庭園ですが、なかでもツツジは有名で、4月下旬~5月上旬はヤマツツジ・ドウダンツツジ・リュウキュウツツジなどさまざまなツツジに彩られ、「ツツジまつり」も行われます。
駒込といえばもうひとつ忘れていけないのが、北口徒歩10分ほどのところにある旧古河庭園です。こちらは京浜東北線上中里駅が最寄で、スタンプも上中里駅で紹介されていますので、詳細は今回割愛しますが、4月中旬~下旬はツツジが見頃です。

六義園や旧古河庭園に見られるツツジは、まさに駒込を代表する「花」といえますが、もうひとつツツジで見逃してはいけないのは駒込駅です。古いスタンプ(現在はなし)にも描かれていますが、明治43年(1910)の駒込駅開業を記念して、近隣の植木屋さんによって植えられたもので、ホームに立つと線路沿いに彩られるツツジが乗客を和ませてくれます。
次回の停車駅は田端駅です。


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